太陽の帝国 【Empire of the Sun:1987】

見た。


太陽の帝国 [DVD]

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上海の租界で暮らしていた裕福な実業家(繊維産業)の息子が、太平洋戦争の開戦の混乱のなかで両親とはぐれて一人日本軍の収容所に入れられてしまうお話。


主人公の少年はなんとクリスチャン・ベールだった。出ているということは知ってたけど主役だったのか。はっきりと面影があるというか今とそれほど変わらないけど、まあ美少年か。


で、映画としてどうかというと、ぴんと来なかった。映像もきれいだし上海の様子も面白かったし、日本軍についてもおかしな扱いにはなってなかったし、悪くないんだけど。


ちょっと詩的な感じだったのが合わなかったのかもしれない。


シンドラーのリスト』では映画を観る者に登場人物の顔をうまく覚えさせると言われていたけど、この『太陽の帝国』では小物・小道具が同じような感じでうまく記憶させられるように写しこまれていた。くどくないのに、そして再登場するのがずっと後だったりするにも関わらず覚えているんだな、不思議と。


あと、日本の敗色が濃くなってきて収容所から南へと移動するシーン。イギリス人・アメリカ人たちが列を作って歩いていくところは見ていてなんとなく『下りの船』を思い出した。ディアスポラというのかな、スティーヴン・スピルバーグというひとはああいう記憶というかイメージが強烈に頭のなかにこびりついてる見たい。


南方へ移動する途中、日本軍が略奪したと思しき家具・調度品、車などがびっしり並べられたスタジアムのシーン。原爆の光を見た、ということになっているんだけどあれは本当なんだろうか。いくらなんでも遠すぎると思うんだけど、長崎の原爆なら見えるのか?


ということで、なんとなく思ったんだけど。原爆の映画をスティーヴン・スピルバーグに撮ってほしい。日本人が撮るべきとも思うけど、いろいろな意味で無理だし。どうせならスティーヴン・スピルバーグがいい。映像の質もそうだし、大量虐殺にたいする理解というのかな、距離の取り方と言うかまなざしが、スピルバーグなら大丈夫なんじゃないかと思った。ジェームズ・キャメロンはまじ勘弁してほしい。ノンフィクションの映画化権を取得したとかいう報道があったけどキャメロンは駄目だ。


ところでこの映画には日本人もちょこちょこ出ていた。ガッツ石松はああいう一兵卒がよく似合う。伊武雅刀は意外と胸毛が。でも一番びっくりしたのは『笑点』の座布団ボーイ山田隆夫。彼がクリスチャン・ベール(子役とはいえ)の頭をボカスカ殴ってるのを見て吹いた。すげえよ!山田君。


ベン・スティラーがちょっと悪い顔で出ていた。