戦火の馬 【War Horse:2011】

見てきた。


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悪くなかった。冒頭ジョーイが生まれるところで危うく泣くところだった。


でもその後は特にグッと来るところはなく、よって私は“もっとも冷たい人間の一人”ということに。


ただ、いまちょうど自分が足を痛めていて両の足首が痛いので大砲を引っ張って坂を登るシーンは見ていてつらかった(「角度!」ってなんだよ戸田さん…)んだけど、本番はその後に来た。塹壕戦で張り巡らされた有刺鉄線を引きずりながら疾走して絡まって動けなるという残虐なシーンは正視に堪えない感じだった(見たけど!)。


まあ映画のなかのことなので有刺鉄線は大丈夫だとしてもけっこう「これ怪我してるんちゃうん?」と思えるようなシーンもあってそういう意味でハラハラはした(結末はだいたい予想つくので)。馬はがんばってた。頭良いしかわいいわ。


映画としては微妙。まず戦争に駆り出されるまえのイギリスのシーンでは景色はきれいなんだけど、照明がおかしい。曇り空の下、屋外なのにあきらかに人工的な光が当たっているので背景と人物が乖離して見えてしまう。素人が見たって違和感があるんだから当然監督だって分かっているので意図するところがあるんだろうけど良く分からない。舞台みて感動して映画にしたらしいからそっちの影響を引きずってるのかもしれないけど。まあUKパートの照明さんがNightさんだったから、というのが原因かも。他ではそれほど気にならなかったし。



他にはところどころ“え?前後繋がってないんじゃないの?”みたいなシーンがチラホラあった。子馬であるジョーイにリンゴをやろうとするところも食べてないようにしか見えないんだけどいつのまにかリンゴ齧られてるし。騎兵300騎で600の歩兵に突撃するシーンもちょっと変。乗り手を失った馬がどんどん走り抜けていくのは、兵士が斃されてるってことでいいんだけど繋ぎかたおかしく感じた。もったいない。


ジョーイと彼を育てたアルバートの関係はちょっと同じドリーム・ワークスの『ヒックとドラゴン』ぽくてちょっと期待したけど同じシーンは無かったな。リンゴやるところで額に手のひらぴたってやるか?やるか?と思ったけど。音楽もちょっと似ている気がした。


役者はけっこう味のあるひとが大勢出ていて、その点やっぱりスピルバーグだわ(キャスリーン・ケネディフランク・マーシャルと言ってもいいのかも。すごいわこの人たちの仕事。殆ど知ってる)とか思った。父ちゃんのピーター・マラン(声は聞き覚えあるし顔も知ってるけどどこで見たのか覚えてない)とかいい。もちろん母ちゃんのエミリー・ワトソンも。地主もそれっぽいしフランスのジャム作りの爺さんなんてかなり渋い(まあ孫娘がかわいいってのがこの映画の一等賞だけどな)。終盤に出てきたレストレード警部が悪人じゃなくてよかった。


そういやドイツ軍の兄弟の弟が川島海荷に似てたな。兄ちゃんも誰かに似てたけど忘れた。あとドイツ軍の馬担当がニック・フロストっぽかった。


しかしよく考えて見ると「奇蹟の馬」っていうよりは「死を運ぶ馬」になってる気がするんだけどどうなんだろ。女の子は大丈夫だった、とホッとしたんだけど結局アレだったしなぁ。