モリコーネって癖になる

TVもNHKしか見ないような父が、何故か西部劇だけは好きだったから、よくくっ付いてみていたので昔にも見た気がしていた。が、多分初めて見た。




いやぁ、クリント・イーストウッドはいつもどおり格好いいな。けれども。この映画ではもう一人の主役であるモーティマー大佐(リー・バン・クリーフ)が一枚上手で、格好よさもイーストウッドを上回っている(ちょっとだけ、ね)。


最後のシーケンス。一人撃ち倒したあと。白壁の建物からゆっくりと敵の大将で、最後の一人であるインディオが降りてくる。その次ぎの画面。


画面左手前に大きなシルエットの大佐、右奥に白壁と青い空を背にした小さなインディオ。もうね、格好良すぎる。


もちろん。イーストウッドも格好いい。賞金首の連中だって、ちゃんと見た目から汚いし、どう見ても悪い悪い。途中、大佐にサスペンダーでマッチを擦られてアタマに血が上ったけど、強盗する直前なので我慢したけど結局あとで撃ち殺されるというかわいそうな金髪男(クラウス・キンスキーというらしい)がいい。他の連中に比べるとちと小奇麗で、気が短く神経質な感じ。なんとなく変な顔おじさんスティーブ・ブシェミを思い出させる。


更に。悪役がバカでないのがいい。SWはちゃんと見たことがないからはっきり言えないけど、これくらいのレベルの敵なら大蟻食さんもOKを出したんじゃないのかと。


どう見ても学はないが、狡賢さはたっぷりな感じ(そういえばイーストウッドも字が読めない設定だった気がする)。エルパソの銀行強盗ではかなり鮮やかな強奪っぷりで3億円事件くらい綺麗に成功させる(この後の馬車と馬の群れがハイスピードで逃走するところは凄く迫力がある)し、仲間に脱獄させてもらうほどの大ボスなのに、セコイ計画とセコイ演技で奪った金を独り占めしようとしたり、仲間の一人がちゃんとそれに気付いて逆に追い詰められたりするあたり。これでようやく、無理なく運動@大蟻食ができるってもんでしょう(というのが無理あるこじつけか)。


インディオが煙草(コカとかマリファナ?)を吸って恍惚とするシーンが何度かあって気付いたんだけど、あの中指と薬指の間の一番付け根のところに挟む吸い方って、『ソードフィッシュ』(『ブロークン・アロー』?)のジョン・トラボルタの吸い方と一緒だ(あのトラボルタの吸い方が嫌いだってどこかで読んだので覚えてた)。


ま、オルゴール?の時計の蓋を開けると耳に残る音楽が流れ、実はそれが大事な人を殺された記憶に結びついていて、最後にはあだ討ちになるというのは『ウエスタン』と同じで、ああ、これがセルジオ・レオーネなのねと思うけれど、やっぱり面白いしハッとするような画面があったりするので満足しました。おなかいっぱい。


あ、でも、ここってときに顔のアップになるというか寄っていくところは好きになれない。どうも似たような表現をTVで見すぎた所為かもしれない、と最近気付いた。当時見た人はあれをどんな風に感じたのか知りたいなぁ。というかTVが真似した?


一度、二人の賞金稼ぎが捕まるんだけど、このときインディオが「りんごを撃ったからばれたんだ」みたいなことを言うんだけど、あそこだけ意味が分からなかった。住人を撃っておけば疑わなかったということなんだろうか。うーん。