狼の死刑宣告 【Death Sentence:2007】

昨日寝坊して、今日、日曜の上映時間が朝一と夜の終映だけ、ということでやーめぴっ。などと思っていたら、昨日からみなみ会館でやっていて、こっちは夕方にも上映していたので行ってきた。


この映画、チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』【Death Wish:1974】の続編ということで、話はそのまんま。ギャングに入るためのイニシエーションとして、屑野郎に息子を殺された投資会社の副社長をしていたケビン・ベーコンが怒りにまかせて復讐すると、実はその屑野郎がギャングのボスの弟だったために逆恨みされて、さらに家族を殺されてしまって、さらに怒ったケビンが丸刈りにして黒い革のジャンパに身を包みショットガンと45口径と357マグナムを携えてギャングどもを殺しつくす、というもの。


ん。お話にひねりは全くない。と同時に、しつこい愁嘆場は無くサクサクっと話が進むので見やすい。ただ、そういう話としてはついこないだ見た『96時間』のほうがインパクトが強く、その所為か、悪くないと思いつつもやっぱりパッとしないなとも思う。地味。


ただケビン・ベーコンの顔つきがどんどん変わっていくところが結構がんばってると思った。血の気が引いたところもかなりすごいけど、やり過ぎではない、一線を越えないギリギリのところで止まっている。


シンプルな話だけど『96時間』と同じようにオカシナところはいくつかあった。投資会社で様々なリスク評価をしていた割に、復讐を果たしたあとに逆恨みしたギャングたちに家族を狙われる可能性を考えていなかったとか、初めて銃を買い、説明書を見ながら襲撃の準備をしていた割に、45口径や357マグナムを片手でガンガン撃っていたところとか。


まぁ、これらは動揺していたとか、実は昔銃を扱ったことがあったとか、なんとか自分を納得させることはできるんだけど、警察のへんな対応だけは無理。


ほんとのところは知らないんだけども、アメリカの警官って、どんな嫌なやつだって同僚が殺されたら、その犯人は逮捕せずにぶち殺せ!という連中だってのが映画やTVドラマなんかで良く見る警官像なのに、この映画では二人も喉をかっ切られて殺されていて、しかもその犯人の目星は付いているのにも関わらず追い込む様子も追い込まれる様子もない。これだけはおかしい。


ま、それ以外はB級映画のど真ん中ストレートな映画で、まあまあの出来かなぁ。立体駐車場でのカメラワークは確かに面白かった(地味だけど)。緊張感を切らないために長回しにしたんだろうな(地味だけど)。


子どものころに見たのなら、息子を殺された父親の怒りに素直にのっかって、頭に血を上らせた分、復讐を果たしたところで、カタルシス一発すかーっとしたかもしれないけど、残虐な話を見過ぎた所為か、乗り切れなかったな。磨滅したのかな。


でも、復讐が悪いとは思わない。やっぱいいよねぇ。そこそこスカッとする。で、思い出だしたのがイーストウッドの『グラントリノ』だけど、やっぱりあの結末がOK!!!なのはイーストウッドだからだったってのがハッキリした。あの映画では朝鮮戦争での従軍体験ってのがさらっと触れられていたけれど、あれだけでは力による復讐を避けるだけの理由としては物足りないんだ。やっぱりイーストウッドの役者としてのキャリアがあってこそのあの結末だと。


ということで、ケビン・ベーコンが演じる以上、結末はこれでいいのだ。


ところでイーストウッドはまた映画(南アフリカで撮影したやつとは違う、次のやつ)を撮っているらしいけど、凄まじいな。あれはやっぱ物の怪の類いかもしれん。