ダークナイト ライジング 【The Dark Knight Rises:2012】

なげーよ!あ、いや本編ではなくって最初の予告。20分もあったよ。


そのなかでも群を抜いて長い予告だったのが『トータル・リコール』で、もう見せ場残ってないんじゃないの?ってくらいいっぱい見せてた。


前作『ダークナイト』が見てる最中にぼーっと火照ってきてジョーカーのPC箱乗りで風にあたる気持ちよさをヒース・レジャーと共有、終わった時には熱い溜息が出るという傑作だったんだけど今作はそういう傑作感はなかった。


見るのが出遅れたせいでツイッタ―なんかでいろいろ感想見ていて程度期待は下がっていたせいもあってか、そんなに悪くはなかった。


お話はそれほどややこしくなくてどうもなにか不満を抱えた化け物のようなレクター博士的なマスクをした男がゴッサムにやってきてなにやら壮大な計画を進めているらしいことがわかって、8年引きこもっていたブルース・ウェインバットマンとして再始動しましたよそんでやっつけましたよ、というだけ。もちろん一度はやられるけれど復活して逆転する。お約束。


で、どこをとってみても悪くないんだけどそこどまり。「悪くはない」がずっと続く。事前に仕入れた情報ではアン・ハサウェイが良いということだったけどそれほどまでとは思わず。確かにすごくスラッとしているし身のこなしもなかなかネコらしくてよかったけれど(特に脚ね)。反対に演技酷いって聞いていたマリオン・コティヤールのほうもそれほど酷いとは感じなかった。それより最初の方でブルースの家に入って写真やなんかを見ていたシーンでびっくりしたのがコティヤールのロケットおっぱいぶり。あんなに凄かったっけ?ほえ?


で、なにが足りなかったのかなと考えてみたんだけどとりあえず真っ先に思い浮かんだのが街の汚さが足りなかったっていう点。どういう意味かというとですね、そうね少し前にみたソダーバーグ『コンテイジョン』のときのような汚れやもう少し前になるけど『ブラインドネス』の汚さがほしかった。前作のゴッサムはシカゴだったけど今回はたぶんマンハッタン。綺麗なんだよね通りが。あの状況で数か月経っててあの綺麗さはありえない。


もっと言えば警察官も綺麗すぎたし「影の同盟」連中のやってることも綺麗すぎる。そうそう、たいそう勿体つけていた“奈落”もまったくもって汚さや臭いを感じなかったし(てか20人くらいしかいなかったぞ?)。そういう意味でも『ブラインドネス』の人間の汚さのほうがリアルに感じた。ようするにいろいろなところが綺麗すぎるってのが一つ目立った欠点だろうな、と。


あとは犯罪の規模を考えると今回の方がずっと大きいのに前作のジョーカーのほうがでかいことやってるようなそんな錯覚に陥るんだけどなぜなんだろうな。どうも「影の同盟」を持ってきたせいで、第一作『バットマンビギンズ』のときと同じくらいまで“軽く”なってしまったような感じ。あのときも敵役としてはけっこう軽く感じた。なんども説明されてはいると思うんだけど彼らの動機がよくわからない。それに比べると『ダークナイト』のジョーカーはアンチ・バットマンというかまんま裏返し、人間の善性の裏返し(ということで普通に考えるとそんな純粋な悪役はいないんだけどヒース・レジャーはやってしまった)だったので分かりやすかった。


まあどうも続編できそうなので待ちますよ。


最後に。みんな頑張ってはいたけど今回一番よかったのはマイケル・ケイン。いやーすごい微妙な表情ですごく自然に感じられる。達人の域に達してる(重複?)。もう一人のお年寄りレギュラーモーガン・フリーマンも頑張ってたけど、やっぱり年なのかな?もう少し若ければノーランも迷わずフリーマン爺ちゃん水に沈めてたね。『フラッド』のときはずーっとジャブジャブだったもん。