ゼロ・ダーク・サーティ 【Zero Dark Thirty:2012】
驚くほどモダンで、ものすごい映画が誕生した。
ということなのでトム・クルーズの『アウトロー』を見たばかりだけど行ってきた。
いやー面白かった。これは面白い。今日この映画を見終わったときバットマンの2作目『ダークナイト』
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を見終わったときと同じように鼻から熱い息が“むふぅ”と漏れた。久しぶり。
この映画157分もあって上映前のあれやこれを入れると3時間はあった。それでも一度もだれることなく高い緊張感を保ったまま最後まで見てしまった。それくらい面白い。当然見終わったときにはぐったりしていたけど。
正直『アルゴ』より『ゼロ・ダーク・サーティ』のほうが面白い。『ハート・ロッカー』で作品賞・監督賞ほかオスカー獲ったからノミネートだけで我慢してくれ、という感じだったんじゃないのかなと思ったり。むこうはハリウッド持ち上げてるように見えないこともないしね。
対テロ戦争ものの中でも一番良かったかもしれない。実は見ていて思い出したのは『ハート・ロッカー』じゃなくて『ハート・アタッカー』だった。あれも結構ドキュメンタリーっぽい作りだったから。モキュメンタリーっていうのかな。
この『ゼロ・ダーク・サーティ』はドキュメンタリーではないんだけど“映画っぽさ”がとても薄かった。映画っぽさというか“芝居っぽさ”が。まず全体的にセリフがすくない気がする。BGMも抑え気味。
印象的だったのはセリフが映画でよくあるような気を利かせてる(つもりの)ものがほぼ皆無だったこと。ビン・ラーディンの隠れ家を襲撃するシールズの連中(『インビクタス』ちゃうの?みたいなガタイのいい連中)が無駄口叩いていたくらいで、それも本物っぽく頭のよさそうな会話ではなかったし。それでいてこれだけ面白いということはもうなんていうか『ブラック・ラグーン』の立場がないじゃないですか!面目丸つぶれじゃないですか!どうしてくれるんだキャスリン・ビグロー!
そういう点で見ると『ブラック・ラグーン』どころかこの同じ対テロ戦争ものの映画
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でさえちょっと鬱陶しく感じてしまうほど(いい映画ですけど)。
主役のマヤを演じたジェシカ・チャステインはよかった。横顔綺麗で声がかわいいんだけどまあ色気とは程遠い。風呂入ってるの?という感じで何年もビン・ラーディンを追いかけているノンキャリ(っていうのかわからないけど高卒でCIAに入ってる)の迫力たるや凄まじい。一度直属の上司である支局長(カイル・チャンドラーだけど『アルゴ』でも似たような役やってた)に向かって「お前は小物捕まえて点数稼ぎたいんだろ!」と怒鳴ったところなんてほとんど般若ですよ、顔が。
それがあのラストにつながる(本当はビン・ラーディンの遺体をなぜ水葬にしたのか、あたりも見てみたかったんだけど)。
ふう。書きながら思い出してまた頭がぼーっと熱くなってきた。とにかく面白かった。あとマーク・ストロングが髪増えてて印象がえらい違ってた。途中で本国に戻ったCIAの同僚(ジェイソン・クラーク)は髭そったらこれまたえらい印象が変わってて驚いた。横顔がポール・ニューマンに見えるの。
しかし外連味のないストレートな話のほうが面白いのね。たとえば感染もので言えば『コンテイジョン』が『アウトブレイク』や『ブラインドネス』なんかよりずっと面白かったのと似ている。ワクチンを自分の体で試した研究者やっていたジェニファー・イーリーが冷戦時代を知っている先輩CIA局員やってたので連想した。彼女ってジョン・マクレーンの娘やってるメアリー・エリザベス・ウィンステッドにも似てる。目のあたりが。
シールズの突入シーンでもこれまでのアクション映画と比べるともたついているようにも見えるんだけど実際はこんなものかもしれないなどと思ったり。それが面白い。墜落したステルスヘリ・ブラックホークを爆破するシーンでキャノピーを踏み抜くところとか施錠されたドアを爆破するけど失敗して他に周るとか、本物っぽい!とか思いつつ見ていた。
いやー面白かった。
予告でブラッド・ピットが殺し屋をやる『ジャッキー・コーガン』を見たけどなんとなく『アウトロー』っぽいなと思った。んだけどよく見ると『ジャッキー・コーガン』は原題が『Killing Them Softly』なのね。『アウトロー』は逆に原題が主役の名前『Jack Reacher』なんだけど。