パコと魔法の絵本

これを見た。


パコと魔法の絵本


始まってすぐ、アマガエル(ほんものなのかよく出来たCGなのか分からん)がジャンプした瞬間、お、これは!と思った。思ったんだけどもその直後からはじまるシーンでまごついてしまった(見てるこっちが)。特に阿部サダヲ。いや、いつもの阿部サダヲそのまんまなんだけどもなかなか映画に入っていけない。乗れないと言ったほうがいいかも。


そうこうしているうちにもどんどん話が進む。ちょっと焦るくらい乗れない。そのまま進んでいく。


気づくといつの間にか、ちゃんと乗ってました。いつからだ?お話じたいはバカバカしいくらい単純で、つまらんくらい。ステレオタイプだし。それがですね。


終盤にはちょっと感動したりしてました。なんだろうな、あれ。どこにグッと来たのかよくわからない。


入院患者や医師、看護婦たちの演劇とCGアニメーションがすごい勢いで入れ替わり立ち替わりどんどん切り替わる。なんだかゲームの映像のよう。立体的。で、そこのつなぎ目というか転換がすごいんですけど、結構。まぁカットが多くてどんどん見せられるとちょっと情報過多な感じになってしまって振り落とされそうになったんだけども、まぁ、あんな映像を日本映画で見ることがあろうとは予想してなかった。


病院一階の待合室のようなところでの場面が多くて、登場人物が一堂にあらわれることもあって、なんだか演劇(劇中劇じゃなくて)のようだと思ったら、原作が舞台劇だった。後藤ひろひとってTVでよく見るあのひげのおっさん?白田先生の扮装みたいな。映画にしたのはやっぱガマ王子の場面が撮りたかったからだろうか。画面の動き、切り替えへの力の入れ方が『下妻物語』(普通の映画)→『嫌われ松子の一生』(紙芝居みたいな)→『パコと魔法の絵本』(3Dのゲームみたいな)とキツクなってる気がする。これ以上いくと付いていけそうにないので、別方向への進化をお願いしまつ。いや、私が進化したっていいけどさ。

  • 最初、妻夫木聡が汚すぎて誰だかわからなかった。
  • 撃たれて入院していたチンピラ役も誰だかわかんねーなーと思っていたら知らない役者(山内圭哉)だった。
  • 上川隆也のあれはちとつらい。というかメガネふけ。
  • 小池栄子の吸血鬼女が似合いすぎていた。今後は同じような役しか来ないと思う。
  • 「父さんにだってぶたれたことがないのに」の黒人はいらない。
  • 主役の女の子がかわいい。
  • 隣にすわっていた女の子も小学生低学年くらいで、足をバタバタさせてうるさかったので脚をつかんでメッ!って叱ったら大人しくなった。
  • うつむき加減の大貫の頭がハートに見えるなと思ったらその女の子も声をだして「なーなーあのおっちゃんの頭ハートに見える…」と言ってた。中身はいい子だった。
  • 登場してない猿の存在がいまいち理解できないようで、終わった後に母親にしつこく絡んでいた。やっぱり悪い子かも知れない(勘が)。
  • メーテルの存在感は異常(それに比べりゃエヴァンゲリオンなんて屁みたいなもんだ)。吹いた。




これまでも同じこと書いてるけど、アニメーション以外の邦画はいまいち入りきれない。それはよく見る顔の役者がよく見る風景の中で、あり得ないような馬鹿な話を演じていて、見ていても褪めてしまうから。それがアニメーションや外国の映画ならひと目で非日常だとわかるので、そこで自分が了解でき、その後の展開にわりと素直に集中できる。


で、この映画。冒頭の豪邸の二階の部屋は足の踏み場もないくらいモノやヒトが転がっているし、本棚はみっしりと詰まっているし壁にはぺたぺたといろんなものが貼ってあるし、ということで空白がない。そのほかの場面、病院の中にしても外の庭にしてもCGの世界にしても画面の中の隅々までびっちり詰まっている。なにもないはずのところ(空とか)も監督のテイストで塗りこめられているというのか、とにかく意識が届いていないところが見つからない。


画面の中の隅から隅までがっちりと作り込んであって、見える空間すべてが人工的なもので埋め尽くされていた。その所為で、TVなんかで良く見る顔の役者が非日常的な事態を演じても上に描いたような白々しさを感じることがなかったのかもしれない。ぎっちりみっしり人工物を詰め込むことでリアルさを完全に排除した結果、逆に登場人物の気持の動きなんかに集中しやすくなった。気がする。


ごちゃごちゃ書きましたが、まあなんだ。一番はやっぱり土屋アンナだわ。黒いパンツが似合う看護婦なんて他に見当たらない(しっかりと見れば見える!)。エロすぎて鼻の下が落ちるかと思った。蹴り飛ばされたうえにうずくまったところを踏まれたい(そしてひぃひぃ言いつつ下からチラ見するの…)。彼女はさいこう。


追記:ダヴィッドにも笑った。個人的にタイムリーすぎでした。