太陽 【Solntse:2005】

見た。


太陽 [DVD]

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なんで昭和天皇の映画を外国人が撮ったんだよ、と漠然と思っていたけどこりゃ日本人には撮れんわ。


前半「ちょっとこれは面白いかも」と感じつつも笑えない場面が続いて、その座りの悪さというか微妙な心地はちょっと他の映画では感じたことがない。


それはイッセー尾形の演じる昭和天皇がかなり異様な存在に見えるために笑っていいのか悪いのか迷ってしまうところに原因があるのであって、つまり「天皇であるが故の異様」を笑うのに躊躇してしまうのであって、後半にちょくちょく出てくる普通のギャグシーンだと普通に笑うことができた(この普通のギャグシーンのさじ加減もなかなか微妙)。なんかやっぱり自分の中にもなにかがあるのかなと思ってしまう。んんんんんん。



映像という点では天皇の夢想する魚による空爆・空襲シーンや宮城のすぐ外に実在する焼け跡のシーンなどはなかなかおもしろく迫力もあった。宮城の中と外の対比ということなんだろうけど、この監督のこういう廃墟をメインに撮った映画が見てみたい、戦争映画が見てみたいと思った。


音楽はそれほど使われていない。その代わりなのか、航空機の飛ぶ音やラジオのノイズのような音が常に流れていて不安を感じる。


空襲の所為か、地下にいなければならかなった現人神・天皇が敗戦を迎えて地上に、宮城の外に出て人間となる、というのがストーリーと言えばストーリーなんだろうけど、自分が見ていたのはほとんど一人、イッセー尾形だけだった。


これまでイッセー尾形が評判通りのいい役者だと思ったことはなかったんだけど、これはすごかった。横顔なんかそのまま本人に見えた(これは演技というより作りかな)。ブルーノ・ガンツがやったヒトラーより難しいと思う。参考にするべき資料がさらに少なかったであろう皇后を演じた桃井かおりについてはそもそも皇后を知らなさ過ぎてなんともいえない。


最後のオチは効いた。