レミーのおいしいレストラン 【Ratatouille:2007】

見た。


レミーのおいしいレストラン [DVD]

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ちょっと前のCGアニメだし、どうかなー?と思いつつ見たけれどすでに十分きれいなCGだった。パリの濡れた石畳なんてすごく良くできてる。街の明かりや車のライトなんかもなかなか凄いし。


で、映画というと、これまた良くできていた。なんかこう、ネズミが主役だった。スーパーネズミ。厨チュウ。


最初は『セロ弾きのゴーシュ』っぽく、ネズミに指導されつつ料理の腕を上げていくお話なんじゃないかと思っていたんだけど全然違った。最初から最後までネズミのレミーが主役だったし、あの最後なんて笑ってしまった。ああいう、なんていうか、ラディカルな感じはアメリカっぽい。ネズミだっていいんだよって、いうあたり。


人間側の主役はいつも通りパッとしない冴えない感じの青年リングイニ。なんかこうアメリカのCGアニメの主役って、作ってる人たち自身じゃないの?がっこでいじめられたりしてたんじゃないの?みたいなヘナチョコひょろひょろな感じでとても好感が持ててしまう私っていったいなんなんだろう、どうしてこうなった。


おいしいものを食べたときの表現がむかしTVでやっていたドラマ版の『美味しんぼ』のアレを上品にしたような感じで、やっぱり味を映像で表現するのはむずかしいんだなと再確認した。匂いも同じだろうけど。


いちばん良かったポイントは辛口料理批評家というか死神アントン・イーゴ(声がピーター・オトゥールなのね)。見た目死神っぽいし、その批評で何人もの料理人を葬ってきたようなそんな感じの扱い。彼の居室が天井から映るシーンがあるんだけど、真っ赤な内装で床の形が棺桶になってて、その頭のあたりでまるでパイプオルガンを弾くかのようにタイプライターを打っている(ま、本当は死刑を言い渡す判決文を打ってるんだろうけど)。


で、その彼が最後ああなるっていうのがね、とてもよかった。シンプルだけどとても良くできてる。


さて、このところ立て続けにアメリカのフルCGアニメーションを見てきたんだけども、そのレベルの高さにちょっと圧倒されてたりする。なんというか、ね。やっぱり画面全部人の意志、人の技術で作ってるということで、すべてが作り手の手によるものであって偶然とか入り込む余地がない。ということで、この出来の良さはそのまま作り手の能力の高さ、ということで、つまりそういうこと。


これまではアニメーションならでは、という動物だったりおもちゃだったり昆虫だったりモンスターだったりがメインの映画だったけれど、そろそろそういったものが一切登場しない普通の人間ばかりが出てくる映画が作られていい時期かもしれない。とか思った。