トゥルー・グリット 【TRUE GRIT:2010】

1969年の『勇気ある追跡』は未見。


父を殺された14歳の少女が母親の制止も聞かずにひとりで保安官を雇い居留地への追跡に同行、仇である逃亡犯(ジョシュ・ブロリン)トム・チェイニーを追い詰めるお話。


冒頭アーカンソーのフォートスミスに蒸気機関車が到着するシーン。真っ暗な画面が中央付近からじわじわとセピア色の画が浮かび上がる。『ミノタウロス』を映画化するならこんな感じだとずっと思っていた、そんな始まり。私としては覗くような感じで中央から丸く明るくなり、その穴が大きくなりながらその向こうにヴァシリが語っている光景が徐々に浮かび上がっていく、というのがベストだと思っている。


で、到着した蒸気機関車のむこうに見える風景が、まさに絵画のよう。というか絵なんだけど、綺麗。


この列車から降りてきたのは主役の少女マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)とお付きの黒人。幅のあるおさげと丸い顔から何処となく赤毛のアンをイメージするけど赤毛ではない。しかし同じようによくしゃべる。回転がはやい。商人も顔負けの交渉で仇の追跡費用を捻出する。


もう一人の主役が保安官のコグバーン(ジェフ・ブリッジス)で、腕は良いんだけど基本飲んだくれている爺さん。これが汚い。中国人の経営する商店の一室(鳥とかぶら下がっている。物置のような部屋)に下宿しているんだけど、これがばっちい。らくだというのかパッチというのか股引というのか、ああいう下着姿で寝ているベッドは尻のあたりがゴボッと凹んでいて枕には濃い濃い脂染みが。バッチいんだけどこれまた絵画のように見えるくらい綺麗な画面。


もう一人、テキサスからチェイニーを追いかけてきた男がひとり。レンジャーのラ・ビーフマット・デイモン)で、こいつが「テキサスでは○○」だの「レンジャーは○○」だのといちいちコグバーンにケチをつける。そのくせ腕はいまいちといおうか、どこか間が抜けている。


この3人が居留地に乗り込み、そこに隠れている悪党どもと対決しつつ仇チェイニーを追い詰める。


この居留地に生息している悪党どもの生態が『ミノタウロス』の悪党どもとどこか似ている。問題はたいてい銃によって解決するんだけど、そういうときの男たちの態度が『アパルーサの決闘』ともよく似ている。


そうそう。この映画ではお馬さんが頑張っていた。ちょっと涙が…


あと、最後にマティが「屑は座ってろ」というシーンがあるんだけど、ちょっと意味が取れなかった。言った相手は知ってる人間だったんだろうか。うーん。DVDで観なおすかの。


悪党役で『プライベート・ライアン』でスナイパーを演じていたバリー・ペッパーが出ていた。似てるけど別人?と思うほど汚く仕上がっていてよかった。唾飛ばしすぎなところとか、ん、よい。