ジュリー&ジュリア 【Julie & Julia:2009】

これを見た。


ジュリー&ジュリア [DVD]

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1960年代に料理本を出版し、その後TVで料理番組に出演して人気を博したジュリア・チャイルドと、彼女が出版した本の全レシピ524種類の料理を1年365日間をかけて実際に作ることに挑戦したジュリーのお話。


異なる時代異なる場所に生きた二人のアメリカ人女性の様子を交互に見せていくんだけども、はっきり言ってメリル・ストリープ演じるジュリア・チャイルドのパートのほうが圧倒的に面白い。ジュリーのほうはといえば、単に「1年で524の料理を作ります」と宣言してその様子をブログに公開し、徐々に読者を増やしていって最終的にはNYタイムズから受けた取材をきっかけにして本を出版し、こうして映画かもされて、冴えない公務員だった(9.11関係の問い合わせの電話を捌くオペレーター)私が社会的に高いとされるステイタスを得ましたよ、というだけのクソつまらん話になっている。ということで、単純にジュリア・チャイルドの伝記映画にしてしまえばずっとよかったのに、と思った。


ジュリーの作る料理がとてもおいしそうには見えたので、ジュリア・チャイルドだけの映画にして、もっと沢山うまそうな料理を見せてくれればそれでよかったのに、と思う。しかもジュリアの夫ポールは大使館詰めの国家公務員でマッカーシズムの煽りを受けて尋問されたり左遷されたりしているし、結婚に反対していたジュリアの父はマッカーシーを支持しているし、いろいろ面白そうな材料は転がっている。ちなみにポール役はスタンリー・トゥッチが演じていて、このコンビは『プラダを着た悪魔』の編集長とその右腕のコンビそのままなので、どんなにメリルがスタンリーに頼っているシーンでもメリルのほうが立場が強そうに見えてしまってちょっと困った。メリルはかなり大柄な女性として描かれていて、そういう女性が自分より小さな夫と深く愛し合っていてなにかと頼りにしている、ということになっているんだけど、このキャスティングのお陰で(トゥッチは悪くはないし、単にわたしの記憶が邪魔しているだけなんだけど)そのギャップが与える効果が小さくなってしまった。


ま、ジュリー演じたエイミー・アダムスがショートカットでわりとかわいいのでなんとかOKかな、という。という。という。


私はまったく知らなかったけれど、このジュリア・チャイルドという女性はかなり有名っぽい。料理の最後のキメ台詞「ボナペティ」は淀川長治の「さよなら、さよなら、さよなら」みたいなもんじゃないかなと想像した。大柄な体付きも目を引くがその話し方もかなり特徴的で、メリル・ストリープは頑張って似せようとしたらしい。