ヒックとドラゴン 【How to Train Your Dragon:2010】

2回目。3D吹替え版で見た。


前回みたのが7日だから1週間経っていない。けれど面白かった。


正直、面白いだけでなくて1回目以上にうぐぅっとくるものがありました。只だったので2回みた『ウォンテッド』は1回目より落ちたし、『インセプション』も1回目と同じやや落ちる程度。それでも稀有なことだと思っていたのに。こいつは2回目のほうが面白かったよ。2Dから3Dになったってのもあるけど、そこに感じ入ったわけではたぶんない。


いや3Dはよかったですよ。飛ぶところとか(降下するときに背骨に沿って細かい背びれなんかがダダダダーと流れ落ちるところとか)、トゥースが池の魚を食べようと頭を突っ込むところとか、フイゴで吹き上がった細かな火の粉とか、焼けた鉄の棒を水に突っ込んで焼きいれるところとか。全体的に水に関わる場面で効果的だったような気がする。3Dとは関係ないけれど、ヒックやトゥースレスの後ろにチラッとだけ映っている水面に池の底が半分透けて見えているところなんてすさまじい。水まわりの描写力がすごい。


意外だったのはヒックのお父さんストイックの顔の細かな凹凸がキレイに見えた点。ひょっとしたら2Dと変わらないのかもしれないけど、よく出来ている。ヒックの顔だって右下のアゴのところに古い切り傷の跡があったりして、作りこみのスゴさを感じることはできるけど。ああいうのはSurfacingだったかな?あそこがやってるんだろうか。ModelingとかLightingとかいろんな部署があるみたいだけど、具体的な作業がどういうものなのかは知らない。


しかし、よく出来てる。一度見ていて知っているのに、そんなことはまったく影響していない。ヴァイキング候補生No.1の女の子アスティが初めてトゥースレスのいる池に来たときに砥いでいた斧。すごいもん。取っ手も金属の部分もすごいもの。ぞわっときた。


もちろん着ているもの、鎧兜、ヴァイキングの村の建物、闘技場、船なんかもすごくいい。闘技場の上にある演壇の石像なんて小太りなバイキングが大口を開けて舌を突き出しているような見た目コミカルな像なんだけど、質感とかね、すごい。


深い霧のなか竜の巣へ向かう旗艦の帆が、先に討伐に出て帰ってこなかった船にコツンと当たるところも好き。なんでかね。


女王ドラゴンが山をぶち抜いて登場するところは、とても正しい怪獣映画だし、これまで見てきたもののなかで一番出来がいいと思う。あれはすごい。


要するに画面に映っている全てのものがきわめて精巧に作られているというところが、ぐっと来る(これは出来のよい3Dアニメーション全てに言えるかも)。これはもうコスト的に実写では出来ないだろうと思う。偶然に頼る余地がまったくない。


追記:私は見ていないけれど、字幕版を見たひとの話だと、本編が終わった直後が字幕版と吹替え版では異なるらしい。


吹替え版だと真っ赤なカタカナの文字で『ヒックとドラゴン』が大写しされてエンドクレジットに入るんだけど、字幕版だと原題の『How to Train Your Dragon』という字が本の1ページ(タイトルの書かれた表題紙)のようにして映るらしい。で、添えてある絵がナイト・フューリーで、どうもヒックが描いたトゥースレスらしい。らしいばっかだな。


そんで、エンドクレジット自体は作った人たちの名前の隣にドラゴンの絵が描かれていて、それらが手でペラペラめくるようにして流れるわけで、これは映画の中で出てきたドラゴン退治のための解説本の代わりにヒックが書いた『How to Train Your Dragon』という新しい本だということになる。ストイックたちの時代からヒックたちの時代へ、ドラゴンとの関係が180度変わったってことを示して終わる、ということで10点満点の着地だと思う。子どもには分かりづらいかもしれないけど大人も見てるんだし元のままで放映して欲しかった。


そうそう、もいっこ。面白いのは、ストイックたち親の世代は、頭では分かっていても習慣が抜けなくて、もう自分たちの味方だと分かっているはずのトゥースレスがとび出てきたときに「ナイト・フューリーだっ」と叫びながら地面に伏せるところ。よく出来てるよ、ほんと。ちなみにあの伏せた男はヒックと同じヴァイキング見習いの少年スノット(女王ドラゴンの目を殴ってた子)と顔がそっくりなので、多分彼の父親だとおもう。よく見ると双子やアスティやフィッシュの家族も描かれているかもしれない。


DVD買うしかないよなぁ、これ。


追記:DVDとブルーレイのセットのやつ買いました。