ゴーン・ベイビー・ゴーン 【Gone Baby Gone】 不景気がおvs鬱がお
これを見た。
- 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
- 発売日: 2008/09/17
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ベン・アフレックが監督した、ということであんまり期待してなかった。まあ『グッド・ウィル・ハンディング』で脚本賞獲ってるくらいだからおかしくないんだけど。
ということで、結構いけました。メンツが豪華な割に地味。というかメンツが豪華過ぎて配役でなんとなく展開が読めてしまう、などと書くと2時間サスペンスドラマのようだけど、やっぱりそこは映画なのでした。どこが?というとわからん。とにかく映画だったわい。
薬中のビッチの一人娘が誘拐されて、その捜査にあたるのがレミー・ブレサント刑事(エド・ハリス)とニック・プール刑事(ジョン・アシュトン)のコンビ。このふたりの上司にあたり、自らの娘も犯罪で亡くしていて、捜査に情熱を傾けているのがモーガン・フリーマン。警察だけでは頼りない、と少女の伯母から捜索を依頼される探偵がパトリック(ケイシー・アフレック)とアンジー(ミシェル・モナハン:イーグル・アイのお母ちゃんね。微妙な魅力が魅力!?)のコンビ。この二つのコンビがそこそこ協力しながら事件の解決にあたるが、結局少女を助けることはできなかった。
というのが大まかな筋。まあ、ほんと地味だわ。出てくるのは不良黒人やらホワイトトラッシュばっかりで、街中まるごとアルコールとドラッグ漬けになっているかのような雰囲気。主役の探偵だってドラッグから抜けだしたけれど、町からは抜け出せない冴えない31歳の童顔男だ。もう息が詰まる。停滞しかない。たったひとり違った雰囲気を持っているのが探偵でヒロインのアンジーで、どうもパトリックは彼女のおかげでなんとかギリギリ正常な世界にとどまっていられる様子。
というかこのケイシー・アフレックって『ジェシー・ジェームズの暗殺』でとうの暗殺者をやっていたあの役者だった(しかも監督の弟)。はっきり言ってあの映画とこの映画、顔だけみればどっちがどっちか分からんくらいそっくり。表情がほとんどない。演技じゃなくて病気じゃなかろうか。
ところで、私はこれを読んで初めて“クライヴ・オーウェン=不景気がお”を認識しました。
キーラ・ナイトレイの顔を青く塗ったグエネヴィアはいいとしても、クライヴ・オーウェンのアーサーはほとんど悪夢のようであった。 『すべては愛のために』 という凡作を見た時にも思ったけれど、普通の観客がこのひどく景気の悪い顔をした鈍重そうな男を我慢できるとは思えないのである。
(強調は私)
きょーれつぅ!
クライヴ・オーウェンもジュリアン・ムーアもどちらかと言えば嫌いな種類の役者だが、全人類が鬱状態で景気が悪くて薄汚れている、という設定だと、この二人の不機嫌で不景気そうな様子もほとんど気にならない(というか、つまりそういうキャスティングであったと理解している)。
(強調は私)
似たようなものだな。
クライヴ・オーウェンがバス停のベンチに景気の悪そうな様子で腰掛けてニンジンをかじっていると、目の前を産気づいた女性があたふたと駆け抜け、それを銃を持った男が追いかけていくので、(以下略)
(強調は私)
座っているだけなのにやっぱり景気悪い。
(強調は私)
これはひどいww、もはや本人のことではなく他の役者のダメだし(違うか?)のために引き合いに出されているクライヴ・不景気・オーウェン…
かように幾度も“クライヴ・オーウェンは不景気顔だ”と主張されていた方がいらしたが、景気の悪さでいえばケイシー・アフレックも負けていない。というか病気だわ、彼。
というわけでわたくし、ケイシー・アフレックを現時点でNo.1の鬱顔俳優に認定しました。
クライヴ・オーウェンってどことなくピート・ポスルスウェイトと似てるね。親子とか叔父と甥って言われたら信じるね。アダムス・ファミリーっぽいけど、不景気顔を集めた不景気一家の映画とか誰かつくらないかな。絶対打ち切りだ。
ああ、あと、似ているつながりで言うとこの映画のエド・ハリスは髭の所為かヴィゴ・モーテンセンそっくりに見えた。相方の刑事役をやったジョン・アシュトンは『ミッドナイト・ラン』でデ・ニーロにコケにされ続ける間抜け探偵役でよく覚えてる。久しぶりに見たけどやっぱり渋くていいじゃん、おっさん。
最後に。この映画のエンディングはとても良いと思います。ダメなアメリカを妙にリアルに感じられるし。