フリッカー、あるいは映画の魔
これを読んでます。
- 作者: セオドアローザック,Theodore Roszak,田中靖
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
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哲也せんせにヤエガキたんにGaucheたん、みんな褒めてたからな。面白いって。でも単行本はもちろん文庫本も売ってない。しょうがないから図書館いった。
まだ少ししか読んでないけど、読みやすい。短めの文章で、リズムよく読める。翻訳が上手いような気がする。日本語の選び方が上手い気がする。原題は『FLICKER』だけみたいだけど、それだけだとなんのことか分かりにくい、ということだろうか「、あるいは映画の魔」とくっついてる。これもまぁ悪くはない。やりおるな、田中靖。
ただ、女性の言葉の語尾が〜だわ、とか〜のよ、みたいなのが玉に瑕。いわねーよ。翻訳ものだからまだ受け入れやすいけど。
で、今のところ一番面白い(というか笑った)のが、名画座クラシック座をほとんど一人できりもりしている映画評論家クレア=クラリッサ・スワンたん。
クラリッサ・スワンについて、世界じゅうの映画ファンがやがて知ることになるふたつの真実がある。第一に、彼女が才気にみちた批評家にして竜居の文章家であること。第二に、彼女は論争にのぞんで、情け容赦のないひとでないになること。精神の俊敏な動きや斬りつけるような辛口のウィットは、彼女の書いた文章のはしばしでもはや天下周知の事実だろう。
『フリッカー、あるいは映画の魔』 p29
これ読んで吹き出さない党員がいるだろうか。おもしろいって言ってた時の大佐および大佐付きの二等兵Gの表情からはまったくうかがい知れなかったけれど、こういう面白さもあるんだな。
まだまだあるんだわ。
クレアは自分にあらがう者を前にすると、容赦しなかった。嘲り、皮肉、侮蔑がそのために許される武器だった。とはいえ、それもすべては映画を狂おしいまでに愛するがゆえである。(〜中略〜)クレアは理不尽な敵と戦いながら自分なりの批評基準を確立し、そのために深く傷ついてきた女だった。
p39
ふむふむ。
肝心のお話のほうはといえば、これまでのところ全編これ映画漬け。という一種の奇書。ふんだんに散りばめられるというかあふれてきてしょうがないといった感じで、映画にまつわる固有名詞がいっぱいいっぱいーーーっぱい出てくる。そのほとんどが初耳だったりするので少しくやしい。知っていればもっと楽しめるだろうに。攻殻の「笑い男」で出てきたジガ・ヴェルトフとかほんとにいたのか!って。
でも分厚い。読みやすいのにすごい時間かかりそう。なので僕は『地中海』諦めます。ばんざーい!