西暦二〇〇八年七月はすぐそこだぞ!(殊能たんからぱくった)

ようつべをうろついていたら未来少年コナンを見つけてしまい、ついつい9話まで見てしまう。あほだ。


しかも9話というのも続きが見つからなかっただけの話で、あればそのまま耐久上映会になっていたはずだ。どあほだ。


でもね、でもね。やっぱり面白いの。もう何回も言ってるけど、あれには宮崎駿のほぼすべてが詰まっているの。色も絵もダメなところはいっぱいあるけれど、やっぱり面白いの。


ダイスが叛乱を起こしてインダストリアからラナをさらってバラクーダ号で逃げる。まっしぐらに逃げたと思わせておいてインダストリア近くの岩場に隠れ、夜になってから航行開始。そこでファルコから海に飛び込んだコナンが電磁手錠で手足を拘束され、指先でぎりぎりつかまったラクーダからも滑り落ちておぼれかけるんだけども、ちょうどファルコとガンボーとに発見されたバラクーダが180度回頭して戻ってくる。そこはインダストリアからそれほど離れていないので海に投げ出されたコナンとラナは浜に流れ着いて助かる。


この流れに無駄がないの。ぜんぜん無駄がないの。おまけに普段は大声だしてるだけのいい加減なダイスが船長らしくきりきり命令を出してちゃんと働いていて、結構有能だったりして面白いの。速力を上げるため、燃やせるものは全部ぶち込め!というと千人はドアから机から手斧でバキバキ破壊して罐に放り込む。この辺は『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊と似ている。


あとさ、細かいところがよく出来てるの。プラスチック回収してバラクーダに流し込む小さなボートとか、インダストリアで陸揚げした廃プラスチックの処理工程で非プラスチックだけをラインから取り除くところとか、細かいのにちゃんと描かれていてしかもちゃんと話に絡んでたりする(コナンも一緒に取り除かれる)。


あと三角塔のデザイン(太陽エネルギーを受けるシステムとか)。地下の様子。一等市民二等市民を点数でわけてるところ(まぁよくある設定だけど)も子供向けとは思えない。あきらめきった三等以下の連中の生気のない動きと目つきがやばい。もちろんギガントもすばらしい。


ちょっとイラっとくるのはラナのへなへなっぷりで、すぐに気を失ってふらーっと倒れる(たいていは誰かが支えるけど)ところとか、すぐに泣くところとか、しつこい。


でもいいんだなぁラナも。まぁ率直にいって男の子はとても男の子らしく、女の子はとても女の子らしい。これはツンデレの始祖、モンスリー女史にさえ当てはまる。もちろんダイスも。


彼らだけじゃなくて、さっき書いた三等市民とか船員とか漁師とかチンピラとか委員の科学者連中(最期がまた渋い)とか、みんなステレオタイプといえばステレオタイプで、徹底している。もっちろん一番は悪役のレプカ。すげぇ悪い。リアルに悪い。レプカムスカはきっと遠い親戚だ。本当の名前はレプカ・ナントカ・ウル・ラピュタとか言うんだきっと。


もうね、なんでこれを外国で放送しないのかと。これ、中東とかアフリカで放送しろよ。『おしん』以上に影響力があるはずだ。文化とかあんま関係無い面白さ。男はあくまで男、女もまた然り、という内容だし、保守的なところでも問題ないな(豚肉はしらんけど)。きっと子供の心に刻まれるね。そしてこれ見て育った連中は誰も日本には手を出さなくなるね。宮崎駿はこれとトトロとラピュタだけでいい。あとはいらん。