死ぬまでにしたい10のこと 【My Life Without Me】

ということでこれを見た。

死ぬまでにしたい10のこと [DVD]

死ぬまでにしたい10のこと [DVD]




むう。これはいかん。“わたし、これで泣けました”、みたいなキモイ糞女どもがどっちゃり釣れそうな映画ではないか。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と似たような臭いがするぜ!うわぁきめぇ。きしょ。


と思ったんだけど、悪くはない。どれだけ気持ち悪いエモな連中が同時に針に掛かろうともかまやしない。悪くない。


17で妊娠出産。大学で深夜の清掃作業をしつつ暮らす、現在23歳(同年代が青春している同じ場所、というのがツライところであるが、そのような描写はなかった)。擦り切れて荒んだ母親が住む家の裏庭に置かれたトレーラに夫と娘二人の余人暮らし。父親はずっと刑務所。どうみてもトラッシュなんだけども、夫はなかなかに格好良く、さらには優しくて甘い、というまったく不埒な男であり、二人の娘はかわいいざかりの6歳と4歳という貧乏だけれど幸せではあるという状況。ある日突然ぶっ倒れて病院へ行くと余命2〜3ヶ月だと言われたところから始まる最後の物語。


酷い話ではあるけれど、酷い登場人物がいない分救われている。そういう意味では『ダンサー…』よりはマシ。んだども、あざとい感じは否めない。とわかっちゃいるけれどサラ・ポーリーだ。


そうだった。これはサラ・ポーリーだから借りたのだった。やっぱりこの子はおでこが綺麗。瞳も綺麗。ある種の美人だ。かわいい。暗い瞳が曇天とあいまってなんともいえない表情を作り出す。いい。今年はサラ・ポーリーを見る。


一点だけ。鎮痛剤を処方されているとはいえ、酷い苦しみがあったはずなのに、そこがまったくといっていいほど描かれていない。主人公が成長するときに、そのための訓練や修行のシーンをさらさらさらーっと流してしまうことはよくあるけれど、病気で苦しむシーンを同じように端折ってしまうのはどうもいかん気がする。病気の恐ろしいところは、苦痛・苦しみから逃れられず、四六時中痛めつけられるという点なのに、その部分を流すというのはどうも、病(それも死に至る病)を、さらには死を、ということは生をも、物語を作るための便利な道具程度に扱っているような気がして不愉快になる。なんというかな、人生、とか幸せ、について描いているようでいて実は、それこそお涙頂戴だろ、っていう。隣に越してきた看護婦のアンの回想にも同じような臭いを感じた。


ま、サラ・ポーリーだからいいんだけど。