『巨人』につづき『墓地中の道』を読んであまりの外れっぷりに結構なダメージを感じていましたところ(墓地の方はなにも書いてなかったっけ?)。


来ました『きりぎりす』…ケッサクです。傑作。これは素晴らしい。なんといえばいいのか。


誰にでも経験がありそうな幼いころの記憶に違和感無く溶け込んだように描かれた少年ときりぎりすの出会いか。それともあくまでも昆虫の冷たさを保ったままだったきりぎりすの目の所為だろうか。『13日の金曜日』のようなホラーだから?はぁ。


このお話もこれまでのものと同様に今僕が生きている世界とはズレたおかしなオカシナお話なんだけどこの二つの世界を埋める説明は一切なく、ああ、そういうものかと思うしかない。でもやっぱり切り離そうにも切り離せない確かな手触りというか記憶のようなものがあって(今回の『きりぎりす』だと子供のころの記憶がこれに当たる)、それが読む人間をなんとも居心地の悪い不安な気持ちにさせる。なので基本的にはハピーエンドは無い。ホラーの方が相性がいい。でもジワジワ笑いがこみ上げてくるようなユーモア(ギャグではない)はある。


と勢いで『おとしんぼ』を読む。これまた面白い。とっても面白い。ほかになんていえばいいのか。


これはもうお父さんのキャラクターが全て。面白すぎる。アドルフ・ヒトラーとかほんの少しずれていれば、例えば陽気な婆ちゃん爺ちゃんなんかが突っ込み役としてそばに居たなら、結構こんな感じになってたかも(ねーか)。


こんなこと書くとあれですが、この主人公は佐藤哲也その人ではないかと妄想しました。なんとなくね。へっへ。ふふ。