悪童日記 【A nagy füzet:2013】

とうとう見た。


アゴタ・クリストフ悪童日記』の映画化。双子が本当の双子で最初から最後まで区別が付かなかった。どっちが“薪”でどっちが“水”なんだ!


画面のトーンは小説を読んでいたときに脳内に浮かべていたものに近かった。内容も小説版そのままで一部省略、変更した程度だった。ちょっと違うのは魔女と呼ばれるおばあちゃん。小説だと痩せているんだけど映画では太ったウガンダのようなおばあちゃんだった。指がぶっといので肉襦袢とかではなく実際に太い人だった。それが発作を起こすんだけど演技に見えない。

教会の女中がすごく色の白い金髪で、町のなかでもそれなりの立場にありそうなんだけど連行されていくユダヤ人の列にかける言葉や表情がえげつないく、ギャップがきつくて効果的だった。演じたDiána Kissの顔はティルダ・スウィントンに似ている。


小説を読んでいてどちらとも取れるというかいろんな解釈が出来るところが映画版ではほぼ一つ、作り手の解釈がばしっと示されるので面白さは減少しているような気がする。なにせ小説版で一番面白いのは簡潔すぎる描写がもたらす解釈の多様さにあったので。たとえば双子の表情。映画版だと涙が見えたりするんだけど小説版だといろいろ想像できる。


ただどのようにも取れる表情を映している場面も多かったのでやっぱり監督は原作に忠実に撮ろうとしていたんだろうと思う。