LIFE! 【The Secret Life of Walter Mitty:2013】

見てきた。


実は予告編を見ていて、かなり綺麗なんだけどひょっとしたらこれは予告編がすごく出来が良くて、実物の映画はいまいちなのかもしれないな、という恐れを持っていた。


んが、しかし。全編映像の美しいこと。予告で見たような自然はもちろん美しく、壮大だったけれど、ニューヨークの町もとても魅力的に撮られていた。ニューヨークの街路樹の植わった住宅街の坂道なんて、これまであまり見たことがない。わざわざあの坂道を撮ったのはあそこがとても美しいからに違いない、などと思った。


これは「冴えない」と自他共に考えている、強度の妄想癖を持った一人のおっさんウォルター・ミティーベン・スティラー)が自分のちいさな世界から飛び出して新しい広く美しい人生を取り戻すお話なんだけど、一方には超有名なLIFEという写真雑誌があって、伝説的なカメラマン(ショーン・ペン)がいて、雑誌を作ってきた写真の歴史があるという写真の映画でもあって、その所為か、どんなシーンも画面が美しい。絵画や画家を扱う映画の画面が絵画的に美しいのと同じことかもしれない。


ショーン・ペンの演じたカメラマンはどこか滑稽で、ショーン・ペン自身の歳をとっても青臭いところが笑えるのと重なって、真面目にやっていてもかなり面白かったんだけども、やはり決めるところはピシッと決まっていて、不思議な迫力と魅力のあるカメラマンに見えたので、ショーン・ペンもいい役者なんだろうな、と再確認した。


ベン・スティラーってけっこうすごい監督なのかもしれない。役者としてもいいんだけど。ベン・アフレックとなんか通じるところがあるようなないようなどっちやねん。


シャーリー・マクレーンがかわいらしかった。アイスランドだかグリーンランドの泥酔していたヘリのパイロットも、熊男ってこういうのだよな、ん、というところがとても良かったり。


ヒロインの微妙な感じの良さもなかなか。普通の感じのいい人っぽさがミシェル・モナハンといい勝負。


で、この映画のなかでちょっとアレ?っと思ったのが『ベンジャミン・バトン』のパロディーのシーンで、これは原題"The Curious Case of Benjamin Button"とこの映画の原題"The Secret Life of Walter Mitty"が似ているからなのかな、などと思っていたんだけど違うかもしれない。


というのもこの映画は1947年の同名の映画"The Secret Life of Walter Mitty"のリメイクらしい。ダニー・ケイ主演でそのときの邦題は『虹を掴む男』だった(いま『虹を掴む男』で探すと渥美清や山田洋二が引っかかるのでややこしい)。