空を見上げると低い雲が右から左へと伸びている。もくもくとした積乱雲のようでいて巨大な飛行機雲のように棒状に視界の端から遥か遠くまで伸びている。


その雲の中を大きさや形のことなる航空機がびっしりとならんで飛んでいく。戦闘機だけではないけれど不穏さに少し怯える。


数多の飛行機を見送っていると突然もっと近くでもっともっと低い位置に飛行機が現れる。巨大な旅客機だが向きがおかしい。鼻先を真上に向けてゆっくりと横移動している。よく見ると大きなヘリコプターによって吊り下げられたまま運ばれているようだった。


それが家にもっとも接近したときにさらに高度が下がった。ゆっくりと落ちてきている。と思っているうちに海面に旅客機の尾翼が沈む。


そのジャンボジェットを救うためにヘリから男たちが海へ降りる。玄関の扉をあけてみていた私は、彼らと目が合う。


玄関のドアを出たすぐのところはなぜかもう海になっている。どうも我が家は海に浮いているらしい。一軒家が海面を漂っている。男たちはこちらへ向かって泳いでくる。この家を支えにしてジャンボジェットが沈むのを食い止めるらしい。住人のことは殺しても構わない。そんな態度がありありと見える。


私は重い木製の玄関のドアを閉めた。そのうち打ち破られ侵入されることは予想できた。そして殺されることも。