ワールド・トレード・センター 【World Trade Center:2006】

影を見るためだけに見た。


ワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]




失敗だった。


途中から911とかテロとか関係なくなって、ほとんど地震の映画として見てしまった。失敗だ。講義のときの地震をめぐる質疑応答でもかなり堪えたんだけど、生き埋めの描写はきつかった。


前のアカウントのときに書いたことがあるかもしれないけれど、95年の地震でクラスメートが亡くなった。死んだ、と聞いたときには予想外に衝撃を受けた。というのも特に仲の良い友達というわけではなかったから。にもかかわらず震えがきたから。


後日亡くなった時の様子を聞いてさらにダメージを受けた。Sは崩れた下宿の梁に挟まれていて、近所にいた友達が助けに来てくれたけれどピクリとも動かせず、そうこうしているうちに火が回ってきてそのまま焼け死んだ。助けようとしていた友達に危ないから逃げてくれと言ったという。たしかに彼なら言いそうなセリフだった。


わたしは自分が育った土地が、そこに住んでいる連中が嫌いで仕方なかったし今でも嫌いだけれど、彼はそういう連中のなかでは例外的にまともで頭もよくいい奴だった。そいつが死んだ。そいつだけが死んだ。それもこれ以上ないくらい酷い死にかたをした。


もともと神なんてけっと思っていたけれどあれで決定的になった。私には神は必要ない。向こうが私を必要とすることはあるかもしれない。でも近寄ったらぶっ殺す。


で、15年以上経って、あの時の衝撃が薄くなったというか日常からは完全といってもいいくらい消えたんだけど、この前の講義のようにふと思い出すことがあるとかなり動揺することがわかった。前より揺れてる。グラグラ来る。年とったってことだろうか。


と、映画の話にもどると、実話に基づいた話なのでこうでした、ということであればそうですか、としか言えない。ちょっと頭のおかしい感じの元海兵隊員も本当にいたらしいし、映画を信じるなら彼がいたからこそ二人の警官は助かったのだし、それはいい。映画としてはとくにどうということはない。


で、気が付いたというか思いついたんだけども、オリバー・ストーンというのは映画化する能力が高いひとなんだろうなと。


映画自体はパッとしない。でもベトナム戦争を扱った『プラトーン』も上記の『ウォール街』(冒頭にツインタワーが映っていた)もこの『ワールド・トレード・センター』も、誰よりも早く映画化している点で価値がありそうな感じがする。ベトナム戦争の本当の姿、みたいな評価もそうだし、ちょうどバブル(つっても日本だけど)のときに作られた『ウォール街』もそう。


酷い瑕疵はないけれど、これといった特徴もない。でも映画化は一番はやい。それがオリバー・ストーン