バッド・ルーテナント 【The Bad Lieutenant: Port of Call - New Orleans:2009】 ひげそりの意味がわからん!

これを見てきた。


『バッド・ルーテナント』


気持悪かった。画面のあの暗さはたまらなく気持悪い。


どう見てもこれは笑うところだろうという場面は結構あった。けれどそれは頭の半分で、あとの半分はこの映画が始まってからずっと続いている暗さ・不穏さ(これは画面の暗さ音楽の暗さニコラス・ケイジの暗さすべてが混ざって出来ている)にで占められていて、結局相殺されてしまい実際笑うところまで至らない。両方が共存したままなので脳ミソが気色悪いことになってしまった。


ニコラス・ケイジがハリケーンカトリーナの所為で水没しかけた留置場から容疑者を助け出そうとして腰を痛めてしまう気色の悪いマクドノー刑事を演じている。この腰痛、治らない。一生鎮痛剤を飲まなくてはならないと宣告されて、実際マクドノーはこれ以降延々とクスリ(ダメ、絶対。な白い粉もやっちゃう)を飲んでおり、歩く時も腰をかばうように歩くために右肩をぐっと下げた姿勢だし、何かものを持つときも決して屈まない。見ているだけで痛そうなのがよく伝わる。こいつの所為でマクドノーの周りには常に不穏な空気が淀んでいる。


で、この右肩がどんどん下がる。腰痛も悪化しているんだろうけどマクドノー個人を取り巻く状況も悪化していく。これに合わせてどんどん右肩が下がり、これ以上下がらないだろうというところまで行くと、今度は右肩が下がりきったまま左肩が上がってくるのだ。それだけでなく、マクドノーの顔色もどんどん白くなり、最後には常に顔面蒼白で、しかも変な汗を滲ませたまま捜査を続けていく。しかもニコラス・ケイジは禿げている。しかも彼のハゲはもともとショーン・コネリーエド・ハリスのようなナイスハゲではなく、中途半端に乱れていて見苦しい感じなのに、それがさらにヘンな汗によってべったりと張り付いた状態になっているのですごく気持悪い。これがキャスティングのカギだったんじゃないかと思うくらい気持悪い。


ということでニコラス・ケイジがどんどん堕ちていき、それにつれて見た目もどんどん気持悪くなる様子がとても良い。あとはそうね、爬虫類。とくにイグアナはヘルツォークが自ら撮影したっぽいようなことが書かれていたような気がするけど、そうかなーと思わせるほどしつこい。ひょっとしたらこれが撮りたかっただけかもしれん。あとニコラス・ケイジが爬虫類と似てるだろ、とか言いたかったのかも。


Good captainじゃないところが良いんだろうな。


ガイ・リッチーが撮ったら全然違ってたんだろうな。あとタランティーノとか。ヴェルナー・ヘルツォークはドイツ人か。イギリス、アメリカ、ドイツで全然違うな、まちがいなく。