む、むずかしっ。

あとね、その貴種流離譚なるタームの用法は、間違いではないけれど緩すぎると思うよ。それだとある時期までのヨーロッパを舞台にした小説の大半が「貴種流離譚」になっちゃうと思うが。

(強調は私)



日本における散文文学・物語類には、祖形として「高貴な生まれの、弱く、力ない人間が、遠い地をさすらう苦悩を経験する。(それを護持する有力な随伴者を設定する場合もある)」という説話型が組みこまれているとするのが、貴種流離譚にほかならない。




ちょ、これ読んでもピンとこねぇよ。ま、いいけどさ。


“その用法”ってのは此方の方のことかな?

佐藤亜紀『激しく、速やかな死』(文藝春秋)。

短編集。中でも、フランス革命のギロチンの刃から逃れ、新大陸に着いてデラシネな主人公を描く「荒地」が、美味しく思う佐藤亜紀の技。物語の構造として、貴種流離譚を選ぶ事は、読者にとっては安心して読める。




をっと!まだ読んでないのだった『激しく、速やかな死』。むう。年食ったな、わしも…