96時間 【Taken:2008】娘の父を怒らせると怖い

これを見てきた。ほぼ満席。客のほとんどがじじいばばあで館内加齢臭のすさまじいこと。胸が悪くなっちまったぜ!別に敬老の日のサービスデーとかじゃなかったみたいだし、人気があるってことかなぁ。ようわからん。


96時間


元CIA局員ブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン)は仕事のために犠牲にした家族、というか娘キムとの絆を取り戻すために引退し娘と同じ町に住んでいる。誕生日にはインド人の経営する電器屋でしつこく調べたうえ買ったカラオケマイクを持って元妻の再婚相手の豪邸へゆくと、娘は喜んでくれるが元妻からは露骨に嫌な顔をされる。しかもカラオケマイクに喜んだ直後、義父から馬をプレゼントされたキムはマイクを地面に置いたまま馬へ飛びつくしまつ。当然だけど。


そのキムが友達のアマンダと一緒にパリへ行くために実父の許可を取りにくると、キャリアのせいなのか異常なほど心配性な父ブライアンはその場でのサインを拒否する(パリで美術館巡りするくらいいいじゃん、と思うんだがねぇ)。しかし泣いて飛び出していった(17歳だけど)キムを見て結局サインをする父ブライアン。逐次連絡するようにと携帯電話をキムに渡し、空港まで送りに来てみると荷物にまぎれたマップにはヨーロッパ各地を巡る日程が書き込まれていて、なんだと元妻に聞くと実は美術館巡りではなくU2のツアーの追っかけをするという。騙されたとはいえ時すでに遅し。もはや送り出すしかない父ブライアンは娘たちの笑顔をカメラ(デジカメちゃうん。コダックの使い捨てフィルムカメラなん;;)でパチリ(昭和風)。家に帰った父ブライアンはその写真を娘専用アルバム(赤いわけではない)にきわめて丁寧に挟む。


娘からの到着の電話を今か今かと待っていたが一向にかからないことに焦った父ブライアンは自分からかけてみるとつながらない。なぜならパリのアパート(とはいえ6階すべてがアマンダんちのもの)で大音響でロックをかけていたので着信に気が付かなかったのだった(というかU2の追っかけするやつがあんなの聞かないって)。で、トイレに行こうとしたキムがたまたま携帯電話の着信履歴に気が付いてそれを持ってトイレに行くと窓から見えたのはアマンダが男たちに略取されようとしている光景だったので父ブライアンに電話をすると返ってきたのは「お前も捕まってしまう、だがその前に相手の特徴を大きな声で伝えろ」という極めて冷静な指示。言われた通り捕まったキムは身長や髪の色、右手に刺青があることなどを叫ぶのだった。


ということで父ブライアンの娘奪還作戦が始まって、その後はもはやリーサルウェポンをも軽く超えた超暴走機関車(昭和風)となった父ブライアンがパリでキムへの最短距離を一直線に駆け抜けると通った後には死屍累々、パリは死の都となるのであった。


もうね、爆発物で一挙にどかん!とかなし、一人ひとり殴ったりけったり撃ったりするだけで膨大な数の死体を短い時間(96時間)の間に極めて効率的にせっせせっせと生産していく父ブライアンは見た目それほどでもないのに結果だけ見るとランボーコマンドーに並ぶキャラなんだけど、やっぱり見た目が違いすぎるので失笑したりしない。


えーなんで?と思うようなところも色々ある。でもまあ結局のところすべてはあれだけのアクションを詰め込むために仕方ないことであって、まあそういうこと。傑作、かどうかわからないけど、どことなく微妙な雰囲気は残るもののとても面白い映画だった。ロクデナシどもを次々とぶっ殺すのでかなりすっきりする。現役時代のフランスでの“友人”の妻を撃つところはありゃ!と思ったけど娘を助けるためなら仕方あるまい。同じ諜報の世界で生きながら仕事も家庭もうまく回してきた男に対する嫉妬のせいでは決してない。たぶん違う。ただ、あれだけやってどうやってフランスを出国したのだろうか?とは思うけど、出し抜いたんだろうか、許されたんだろうか。


ということで、土曜日は『3時10分、決断のとき』とこの『96時間』という頑張る父親映画を続けてみたのだった。息子の父も、娘の父も、とにかくよい父親をするのは大変ですね!
で、帰ってパンフ(映画の中で奪った銃はMP5っぽかったけど表紙のは違うように見える)みてみると開いたそこには「佐藤哲也」の御名前が!「93分全力疾走!」ですってよ奥様!


いやもう驚いて牛乳吹いたじゃないですか。むう。ということで党員は見とくべき!


追記:映画に行くときに電車の中で『外人術』を読んでいたので、アホなアメリカ娘がタクシー乗り場で英語を話すフランス人(なのか?)に話しかけられて結局ああなっちまった(アマンダは死んだ)のを見て、あれは本当のことだったのかもしれないなと思い直した。


ま、怒りで電話の受話器をへし折る大蟻食先生ならば、誘拐されるどころか自身がブライアンとなってパリの組織を壊滅させるだろうからいいんだけど、普通の女の子は読んでおくべきだと思いました。まる。