カンディード

ふうふう。

第3章

大砲が両軍あわせて6000人を倒し、それに続く一斉射撃により9000から10000人が除去され、銃剣によってさらに数千人が死んだ(*1)。合計で30000人は死んだこの戦闘中、カンディードはうまく身を隠した。

両軍がともに戦勝の祝いの歌を歌わされているあいだに逃げだしたカンディードは戦死したものや瀕死で呻いている兵士の山を乗り越えて隣村にたどり着いたが、その村はブルガリアに焼き払われ、村人は乳飲み子から老人にいたるまで殺されたり瀕死の状態であったため(*2)、さらに遠くの村へ逃げだしたが、そのようにしてたどり着いたブルガリアの村ではアヴァールから同じような仕打ちを受けていたのでこれまた逃げだし、ようやく戦場の外へと出ることができた。

かような状態でもキュネゴンド嬢を片時も忘れることなく歩き続けたカンディードはオランダに着いたときに食料が尽きた。オランダがお金持ちのキリスト教徒の国だと聞いていたため、人々に施しを乞うたが、帰ってきたのは感化院行きになるぞ、という忠告だけであった。さらに隣人愛を説く牧師に話し掛けたが、教皇がキリストの敵であることに同意できなかったために、彼の妻によって頭から○○○をぶちまけられてしまった。


その場に居合わせたジャックという再洗礼派の男がカンディードを家へ連れ帰り、体を綺麗に洗い食事をご馳走し金も持たせ仕事まで与えようとした。カンディードはジャックの寛大さに触れ、"この世のすべては最善の状態にある”というかつてのパングロスの教えを思い出す。

翌日散歩をしていたカンディードは全身膿だらけで鼻が腐り激しい咳をするたびに歯を一本ずつ吐き出す乞食に出会う。

メモ

第3章は約4ページ。んー、これは難しい。大変難しい。なかなか削りづらい章だった。


(*1)のブルガリアvsアヴァールの戦闘の描写は言い回しがとても面白く、リズムもよいので削りたくなかった。どことなく、というかヒネタ言い回しとリズムの良さからくる昔話風な文章が佐藤哲也だった。よく似ていると思う。


(*2)の焼き打ちにあった村のもともとの描写は淡々としているのだが、はっきりいって凄惨を極めていて、これまた削りたくなかった。しかし、少しでもそれを書こうとすると結局全部そのままコピーしなくては気が済まなくなるので、泣く泣く削って見た。この章は凄い。