ちょっと実験。


短いカンディードをもっと短くしてみる実験。これ見てて思いついたの。

第1章

ウェストファリア地方のトゥンダー・テン・トロンク男爵の城館に、生まれつき品行方正な若者がいた。名前はカンディードカンディードの母は男爵の妹であり、つまり彼は叔父のうちに住んでいた。叔父の家に住んでいるのは、カンディードの父にあたる貴族が高貴度71の男であり、男爵の妹が結婚するにはすこし高貴さが足りないというのが理由であった。つまりカンディードはててなしごであった。

この純真な、あるいは無邪気な、という意味の名を持つ若者はその名のとおり純真かつ無邪気であり、どのような事象が存在したとしてもこの世界は最善の状態にある、とする哲学教師パングロスの言葉をその身体に染み込ませつつ成長していた。

ある日、常々類い稀な美人だと考えていた男爵の娘、つまり従妹であるキュネゴンドと庭でばったりと出会ったところ、彼女もまたカンディードのことを自らの充足理由と考えており、お互いに顔を赤らめた。翌日食事が終ったあと、屏風のかげで再びばったりと出会ったところ、キュネゴンドは慌てたのか故意なのか、ハンカチを落とした。カンディードはそのハンカチを拾い、キュネゴンドはそのハンカチを拾った手を取り、カンディードはハンカチを拾った自分の手をとった彼女の手に接吻をしたところ、止まらなくなった二人の唇は触れあったが、そこを通りがかったカンディードの叔父でありキュネゴンドの父であるトロンク男爵に見つかった。娘の父親は当然のように怒り狂い、カンディードの尻を嫌というほど蹴りあげた末に城館から追い出した。

第2章

地上の楽園である城館を追い出されたカンディードはなんども振り返りつつも歩き続け、畑の畝の間で夜を過ごす。飲まず食わずのままようやくたどり着いた町の居酒屋で親切な男たちに食事を恵んでもらったうえ、数枚のエキュ銀貨を貰ったが、その代わりに足枷をはめられ、そのままブルガリア軍に入隊させられてしまう。

連隊での訓練が始まったが、純真で素直なカンディードはみるみる尻を叩かれる回数が減り、仲間から一目置かれるようになった。そんなある日、自由に歩くことができるのは人間の特権だと気がついたカンディードは自由に歩いていったが、兵隊は人間ではなかったらしく、追跡してきた4名の兵につかまった。脱走した、と見なされたのかムチ打ちの刑を受けたカンディードは連隊2000人から2回ずつ計4000回打たれ、うなじから尻までの筋肉と神経が剥きだしになったところで耐えられなくなり、撃ち殺してくれるよう頼んだが、通りがかったブルガリア王から特赦を受けた。


治療を受けたカンディードの皮膚が少し再生し、歩けるようになったころ、ブルガリア王はアヴァールと戦争を始めた。

メモ

第1章は5ページ、第2章は4ページあった。まだ長いような気がする。もっと短くできそうだ。極限まで削ってみたいが、今日は眠いのでこれで終了。