グローリー 【Glory】

これを見た。


グローリー [DVD]

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ディファイアンス』のエドワード・ズウィックが監督。南北戦争で初めて編成された黒人部隊であるマサチューセッツ第54連隊を描いた映画。


54連隊を指揮するのは良いところのお坊ちゃまショー大佐でマシュー・ブロデリックが演じている。威厳を演出するためか髭を生やしたりしているが、坊ちゃん顔のほうがずっと強いのでちょっと可笑しい。すぐ下の副官には幼馴染フォーブス少佐、北軍の墓掘りをしていた最年長の黒人兵で初の下士官となったローリング(モーガン・フリーマン)、若くて反抗を繰り返すのがトリップ(デンゼル・ワシントン)、ショーやフォーブスと幼馴染で同じくいいところのお坊ちゃんでありながら一志願兵としてボコボコにしごきを受けるトーマス。


彼らすべてのキャラクターが立っていてバランスよく配置されているので、実際に前線へ送り出されるまでの長いドラマが相当長いにもかかわらず、とても面白く見ることができる。もちろん黒人だけの連隊ということで制服も支給されず、靴さえ与えられないので度重なる厳しい訓練によって足がボロボロになり(ドロの中で行進し続けるので塹壕足のようにななっている)、挙句の果ては契約時に約束されていた給与まで一方的に削られたりと、お話自体も盛り沢山。


そうやってタメにタメたところで前線へ出ていくと、待たされただけの甲斐がある戦闘が行われる。所どころ、これでもかと言うほど音楽で盛り上げつつ顔のアップで引っ張られるので、いいかげんにしろよエドワード、などと思いそうになるけれども役者がそれに耐えられるだけの演技をしているようで、ぎりぎりのところでセーフに。


そういえば脱走した罪で鞭打ちを受けるデンゼル・ワシントンの顔や解放された南部を行進していて、黒人奴隷の子供たちに、俺達兵隊だぜ?とはしゃぐ軍曹モーガン・フリーマンは見覚えがあるので、見たことがあるはずなんだけど、そのほかは覚えていない。調べると20年も前に作られていて、さもありなむなむ!歳喰うわそら。


忠臣蔵で46人もの部下を自らの意志で死地へと向かわせた大石は指揮官として素晴らしいという言い方で評価されることがあるけれども、この映画の地味で真面目でお固くて最後まで青くさいお坊ちゃんのショー大佐もなかなかの指揮官だったと言えるのではないかと思った。本当は、最初の戦闘シーンでは、なんだこりゃ、馬鹿か?とか思ったんだけどな。ひるむなーって言うだけだよ?作戦もくそもないわ。なんで銃を構えて待っている敵方へ真正面からずんずん歩いていくのかやっぱりわからない。あのあたりの戦争は大体いつもああいうスタイルなんだけど、やだろあんなの。俺ならすぐ逃げる。ばーか、ばーか!