ダーティーハリー5 【The Dead Pool】

スコルピオという悪役が『ダークナイト』のジョーカーと似ている、あるいは原型だというのでこれを見た。


ダーティハリー5 [DVD]

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いきなり出てきたロック歌手がとても若いジム・キャリーだったので驚いた。結構ムチャする尖ったロッカーの役らしいんだけど、どうしてもコメディっぽさが強く滲み出てきて困った。ジム・キャリーだと思うと笑える。後の彼を知らなくてもコメディなのかもしれないけど。なんだか監督にダメだしされないぎりぎりのところまで攻めてるような演技(駆け出しの役者が初めて貰ったでっかい役で、絶対目立ってやる!と言う感じ)に見えるし。


で、そのジム・キャリーのロッカーが出演する映画を撮っている監督が、これまたとても若くほっそりとしたリーアム・ニーソンで、これまた驚いた。


こういうメンツの物珍しさというか懐かしさというか、そういった本筋とは関係のないところに意識が持っていかれた所為か、集中できなかった。音楽がすっごい80年代臭が漂っていたというのも、なんかこう胸のあたりがこそばゆくてイケナイ。映像も古臭いって言うか何やら恥ずかしさを感じてしまう。たまにはいいかも。


事件自体はとくに謎解きというものもなく、実はすごくまっとうな捜査手順によって解決される。おかしいのはやはりハリー・キャラハンその人で、何かあると必ずマグナムをぶっ放すし、ぶっ放すと必ず相手を殺すので、死体だらけになってしまう。相棒の中国系の刑事(Evan C. Kim)がなかなか良い味を出していて、彼は功夫で犯罪者を生け捕りにする。さすがサンフランシスコ。


ヒロインはTV局のレポーター役のパトリシア・クラークソンで、どこかで見たことあるな、と思ったらこないだ見た『オール・ザ・キングスメン(2006)』に出てた。あんまり変わってなくて驚く。当時29歳。現在49歳だけど出演作が途切れていない。見た目というか顔の造作より、色気なんだろうな。


ハリーのマグナムに火を吹かせるためだけに出てきたマフィアの親分がショボくて全く怖くないのであれは笑うところなんだと思う。



また、犯人の使ったラジコンカーの爆弾がいろんな意味で凄すぎて笑った。昔見た時も凄いと思ったらしく覚えていたし。最後の銛を撃ち込むシーンも覚えていた。


全体的に軽い空気が漂い、おぞましさや陰湿さといった本当に暗いところは皆無で、これもまた80年代かと。ひょっとしたらこの映画はアメリカでは映画版『あぶない刑事』くらいの扱いだったのかもしれないな、と思い寂しくなった。クリント・イーストウッドはかっこいいのに!


しかしこれには肝心のスコルピオは出ていないのだった。スコルピオをぶっ殺したあとバッジを置いて刑事を辞めたって町山智浩の野郎さんが言ってたから、最後の作品だと思い込んでいた所為だ。調べたら第一作じゃんか!スコルピオが出てくるのは。きい!