ファーゴ 【Fargo】

これを見た。





色褪せていた!なぜだ。12年前の映画。なんで昔の映画は色褪せて見えるんだろう。ほんとに褪色してるのか?それとも錯覚?


それはそれとして。面白かった。大昔VHSで見たときよりも面白く見ることができた。コーエン兄弟だから、という先入観のお陰だろうか。ふむ。


冒頭に、遺族の要望で名前は変えてあるが事実に基づく映画であると宣言されている。そして、ぱっとしない登場人物たちによってグズグズと話が進んでいく。お金持ちの嫁を貰ったマスオさんが金で雇った二人組に誘拐させておいて、義父から身代金をせしめようというゆるめのお話が進んでいくが、ある瞬間から凄惨な連続殺人事件にかわる。それはもう、本当に凄惨。


にもかかわらず、映画のあちこちにゆるい笑いがちりばめられていて、どうもこれはコメディ映画じゃないのかなと思っていた。今さっきwikiを見たら、本当はそのような事件は起こっておらず完全なフィクションである、と書かれていて脱力した。なんだよ、信じてたのにぃ。あのマスオさんの頭の悪さ容量の悪さどんくさいところとか、会うひと会う人みんなニコニコして“やぁ〜”(yah?)と言うとっても田舎臭い雰囲気とか、リアルだなぁとか思っていたのに。


ま、有象無象のゆるい登場人物をはさんで対峙する警官のマージと犯人の二人組のうちの金髪で狂暴なほうのグリムスラッドがすごい。マージはのんびりした田舎の女署長(しかも妊婦)なんだけども、やっぱり署長やってるだけあってすごく切れる。金髪のほうも情けない相棒を補って余りあるというかダダ漏れの凶悪さで警官を皮切りに一切の躊躇なくどんどん人を殺していく。躊躇がなさすぎて相棒までざっくりと殺すくらい。


ぼんやりしたとろーい感じで、見た目もあれな(『ゾディアック』の容疑者)だけども、夫婦仲はよく、出産間近で幸せなマージとまるきり空っぽな金髪。この対比が最後にきてがーんと来る。ふう。あの空っぽさは恐ろしい。ま、ミネソタだかの何にもない、しかも雪で覆われているあの世界も恐ろしいけど。“やぁ〜”とか言ってないとやってられんのかもしれんな。