夕方雨あがる。

帰りにお好み焼き。またお酒をごちそうになる。酔う。だってでかいんだもんグラス。

ぽーっとなったまま、上機嫌(!)でふらふら歩いていたところ、住宅地の隙間、片側が竹林になっている人気のない道で出くわした。

巨大なゴキブリだった。狭い道のど真ん中にでんと居座っている。50センチほど離れたところで凍り付いたように動けなくなった俺。なんとなく目が合ってしまったような気がした。触覚が動く。

家の中にいるわけではない。いわば野良ゴキだが、殺すべきか否か一瞬迷う。これだけ大きなゴキブリはそういない。このあたりには猫だって多い。それだけ生命力が強いということだ。放置するとその子孫が増えに増えひょっとしたらこのうつくしい町を覆いつくしてしまうかもしれない。やはりここは潰しておこう。

そう思った瞬間、やつは左へ回頭、竹林の雑草へと逃げやがった。こちらはぴくりとも動いていなかったのに気づきやがった。ああいう勘の良さが長生きの秘訣なんだろう。というか俺ヘタレ。靴底の汚れが頭をよぎった分、判断が遅れた。