カンフー・パンダ 【Kung Fu Panda】

これを見てきた。とうぜんネタばれあります。


カンフー・パンダ


ひゃっほー!!おもしれーゼこれ!


いやぁ、“これはしくじったな、竹熊さんよ”と思った。大人になってもちゃんとごめんなさいって言えるところをみせてくださいね!というほど良かったですよこれは。ポニョもまた見てみたいけど、この映画も何回か見たい。というかDVD欲しいくらいだ。少なくとも私はポスターや予告から期待した以上の楽しさを感じたね。1800円でもOK。


夢に見るほど憧れ(手書きアニメのシーンだけど、なかなかかっこいいのだ。ここ見てこれはイケるかも!と思った)、カンフーの達人マスター・ファイブのフィギュアを集めるほどカンフー大好きなでぶパンダ、ポーは谷を見下ろす高い山の頂上にある翡翠城で1000年ぶり(?)に選ばれることになった“龍の戦士”が見たくて見たくて屋台を持っていくことを条件にお店を飛びだす。しかしなにせ高い山頂にあるために早々に屋台を放棄してどこまでも続く階段を上るが、到着した瞬間扉が閉じられてしまう。あれこれ手を尽くして会場を覗こうとするがことごとく失敗、最後に試した大量の花火を結びつけた椅子が成功、し過ぎてしまい、翡翠城の最高齢でその昔カンフーを作り出したといういちばんえらいウーグウェイ導師が“龍の戦士”を選ぶその瞬間、空から落っこちてきたのだった。


ということでデブでラーメン屋のパンダ、ポーが“龍の戦士”に選ばれてしまう。龍の戦士を選ぶことになったのは、凶悪でものすごーく強いカンフーマスターであるユキヒョウタイ・ランがかつて手に入れ損ねた翡翠城にある秘奥儀を奪いにくるというウーグウェイ導師の予言があったためで、タイ・ランは実は翡翠城でウーグウェイ導師の教え子であるこれまたすごいカンフー使いであるシーフー老師が育て、カンフーを仕込まれた最強の弟子だった。そして予言どおり…というお話。


そりゃもちろん、よくないところだってありましたよ。ずっと実家のラーメン屋で働いてきたデブのパンダが、小さいころからつらく厳しい修行を続けてきた五人のカンフーマスター(虎、鶴、猿、蛇、カマキリ)のマスター・ファイブを5分ほどの修行(映画内時間だと数日?しかもつらくないゆる〜い修行だったりする)で超えてしまうところとか、もうちょっとなんとかならんかなぁと思ったし。90分と短い映画なので詰めようと思えばもっとできただろうけど、そこをあえて切ったおかげで、すごくテンポよい映画になった。とても90分とは思えんくらいいろいろ詰まった感じがした。あ、あと桃の花が咲いているのに同時に実がなってるってどうなの?とか。まぁ導師が仙人ぽいというか土地が仙郷ぽいのでいいのかもしれない。


誰もが予想するであろう展開を全くといっていいほど外れることなく進むわけですが、それでもこんだけ面白い。逆に言うとそこが凄い。分かり切ったお話を見てあれだけ楽しめるのはすごい。CGだからなのかどうか分からないけど、ものすごい数のものすごいスピードの格闘シーンは、見たところすべてちゃんとした動きになっている。TVの手書きアニメでよくあるような、ごまかしは一切見当たらなかった。常にお互いの相対的な位置もはっきりしているし、舞台上での位置、天地の向き、すべてちゃんとしているように見えた。


CGアニメで劇場で見たのはこれが初めてだけど、最近のCGは凄いですね。登場人物である動物たちの毛並みもなかなかのもの(谷に住む豚族はともかくうさぎ族がかわいかったし。マスターファイブも導師も老師もみんないいヌイグルミになるわ)ですが特に物が凄い。ほとんど実写に迫る質感。背景というか中国の山奥の描写もすごくきれい。すっごいきれい。いい感じのおとぎ話を見たよう。このチームなら西遊記作ってももきっといいものができる。


なんかね、月明かりを背に夜空を駆け抜けるマスターファイブを見たときなんて涙でそうだったよ、綺麗で。あと格闘シーンなんかの途中でスローモーションとか決めというか見得のような静止画になるんだけど、これまたタイミングがびたぁあっと決まっていてかっこいい!これ作った人はよく分かってる。何がかはわからないけど、とにかく何かがよく分かってる。


あと導師がすごい高齢なんだけど、よーく見ると手とか頭が震えてるの。すごい微妙な動きだけどちゃんと描かれている。この導師の引き際も老師とタイ・ロンの対決のときもじんと来た。ポー親子のやり取りもよかった。型にはまった展開で、ちゃんと分かっているのにね。細かい描写と素晴らしい動き、そしてタイミングがばちこんと会えばストーリーなんてどうでもいいのかもね。どうでもは言い過ぎか。どうでもよくなると宮崎駿になっちまうゼ!(きらいじゃないけど、やっぱり駿の最高傑作はストーリーもキマっているラピュタだ)。


スターファイブで最強と思しきマスタータイガーはアンジェリーナ・ジョリーだったのね。結構いい。シーフー老師はジャスティン・ホフマンで、こっちもなかなかよかった。


追記:エンドクレジットの間もずーっと後日談(おもしろい。タイ・ロンも一枚あったので死んではいないっぽい)が静止画で示されているのに席を立つ馬鹿どもが結構いた。ちゃんと見とけ!クレジットの後、一番最後には静止画じゃなくてちゃんとセリフもあるアニメーションがあったんだぜ!ざまぁみろーw


あれかね、字を見たら逃げるってのはパブロフの犬みたいなものなのか?連中にとって。とりあえず映画館来んなと。家でビデオ見とけと。