じり…じり…としか進まないすまない。


ちょっと変わった叔母マーサとその息子(つまり従兄弟)でガブリエルと同い年(同じ日に生まれた)のマイケル(これまたかなり変わっている)が登場。


彼らの登場で捩じれたなりに安定していたゴドキン家が変わり始める。というかバーチウッドがと言ったほうがいいかもしれない。使われていなかった部屋も登場することになるし。


そういった変化とは別に、時代の変化というか世間の変化もまたバーチウッドを侵食し始める。つまり父ジョセフの経営が下手というだけでなく、地主一般が苦しい状況になりつつあるという状況。


そこにさらにガブリエル・ゴドキン自身の成長が重なる(微妙だけど)。


じりじり読んでいるからというわけではなく、実際じりじりとしか変化しないんだけども、一貫して不吉な不穏な不安な空気が流れていてかなり息苦しい。これまた別に気管支の調子が悪いという理由だけではありません。思い浮かぶのはいつも暗雲が低く立ち込めた鬱陶しい風景ばかり。


『ふたごのおはなし』という本に書かれた双子、ガブリエルとローズ。ここでぐっと引きつけられた。なんだかアゴタ・クリストフっぽい。いや、双子だからというわけじゃなく。というか、ナイト・シャマランっぽいかも。今見てるからというわけじゃなく(いや、あるか)。というか『アザーズ』っぽいかも。なんとなく屋敷の雰囲気が似ている気がするし。とかいろいろ思う。


で、登場人物がすべて不気味な変人ぞろいなんだけど、よくよく考えてみるとこういう人たちは普通にいるし、こういう人間関係も別に珍しいものじゃない。たしかに少しきつめかもしれないけど、ここに書かれている嫁姑、親子、嫁と姑と小姑、夫婦の関係はごく普通に見える。と考えると、じつはこれを語(騙?)っているガブリエルのほうがちょっとおかしいのかもしれない。


いずれにせよ、どう転ぶかわからないし、いろんな風にとれるので面白い。ただやはりちょっと重苦しい。