タイムトラベラー〜きのうから来た恋人〜 【Blast from the Past】

深夜TVでやっていたので見た。というか寝る前にチラッと見てしまい、そのまま午前3時半まで。アホだ。




1960年代のアメリカ、キューバ危機。天才発明家の夫(クリストファー・ウォーケン)と身重の妻(シシー・スペイセク)は、核戦争に備えて自宅地下に作った巨大なシェルターに非難したところ、丁度自宅に戦闘機が墜落。核戦争が始まったと勘違いした夫はシェルターの扉を閉めてしまう。地上の放射線が半減するまでに35年掛かるという予想の元に作り上げられたシェルターの扉は一度閉じるとタイマーによって35年は開かない。開かないが、地下には巨大なスーパーマーケットに匹敵する倉庫があり、農園もあり、大きな水槽によって魚まで養殖できるという充実ぶり。


ということで、主人公であるアダム(ブレンダン・フレイザー)はこの地下シェルターで生まれ、やや奇人である父とまぁまともな母によってこれ以上ないというくらい愛情たっぷりに、育てられる。が、それはやはり50年代後半くらいの価値観が元になっていて、しかも父は少し頑固で古めかしい、ということでアダムくんはすくすくと真っ直ぐに、しかしちょっと古風な感じに育つ。


35年経ち、念願の地上への扉が開く。ロックが外れたドアを開け、まっ黄色の防護服を着た父が地上に出てみると、そこは荒れ果てたスラムが広がっており、放射線を浴びたことによって生まれたミュータントであると勘違いした父はすぐさまシェルターに戻り、さらに篭ろうと主張する。が、比較的まともであった母にとって地下での生活は限界に来ており、夫婦喧嘩が勃発した結果、夫は血圧が上がりすぎて倒れる。


動けない父の代わりに生活必需品を仕入れるために決死の思いで地上に送り出された息子(本人はわくわくしている)が地上で、50年代でフリーズした地下シェルターの価値観と90年代に突入している地上の現実とのギャップによって右往左往する。というお話。初めて見る空に感激し、初めて見る黒人に黒いねぇと言い放ち、初めて見る女の子にうっとりとし、初めて見る海に飛び込む。35歳になっているのにまるで10代のような雰囲気ではしゃぎまわるアダム。父から貰った超・超・超プレミアの付いた野球カードを二束三文で買い叩かれそうになっていたところを助けてくれた女の子イブにくっ付いて両親に頼まれたリストの生活必需品を買い集めるうちに…と。


まぁ悪くない。ブレンダン・フレイザーのあほっぽさが良く合っている。しかし、これも一種の『アンダーグラウンド』である、と考えるならばやはり心優しいピアニストがテロリストになりアメリカ・ニューヨークを標的にするというのはあながち間違った選択ではないのかもしれない。とかそれっぽく書いてみましたがイカガでしょうか。うむ。二つを並べると極東アジアに居ります私でさえ、なにやら怒りのようなものが湧いてくるのであります。ま、あのアホっぽさこそアメリカのよさともいえないことも無いような気もするんだけど。


しかし、クリストファー・ウォーケンはこの映画の発明家といい『クリック』の謎の白衣のおっちゃんといい、なにかこうマッドサイエンティストが似合う顔として認識されているんだろうか。好きだけど。