ひょっとすると、アレですか?大蟻食さん

夏休み。というのにいつもとあまり変わらない気がする日記更新。少し元気な雰囲気は漂っているか。


バイオリンのお稽古もせんと、伊藤計劃氏の『虐殺器官』を読んでしまう。



老後の愉しみにするためには、今バイオリンサボっちゃダメッ。めっ!という感じであるが、日記の続きを読む限り、どうも大蟻食さんはこの伊藤くんが、バイオリンさんよりも、だぁいすき♪(本当は、はあと、を入れたいところだ)らしい。


だってね、大蟻食さんは普段は大胆というか豪胆というか豪傑といったほうがいいような大蟻食さんだけども、実際の大蟻食さんはとってもナイーブな繊細な人ですよ大蟻食さんは。そのお方がですよ、

もちろん題材は、タイトルと表紙に偽りなく、凄まじい訳だが、にも拘らず、ちょっとないくらい繊細なのだ

(強調は引用者)



ですってよ全国津々浦々の投石党党員および潜伏中の工作員同志および投石等サポーターの皆様。これを読んだときあーれー!と思いましたよあたしゃ。


ちょうどいいくらいの年下の男の子で、ちょっとないくらい繊細で、作品もなかなかすばらしいものを書くとくりゃ、これはもう頭の中では伊藤氏=ジェルジュ・エスケルスくらいの妄想炸裂ですよ。


まぁ、かわいいとこもあるんですよ、大蟻食さんも。大蟻食さんが“ヨン様ぁ!”なんて仰った日には、僕の大嫌いな新喜劇なみのズコー!をズコー!ズコー!ズコー!と通常の三倍の勢いで一人ずっこけかました上で、投石党から永遠におさらばしたでしょう。伊藤氏でよかった。いや、僕はこの伊藤氏をよく知らないというか、まったく知りませんでしたが。つーかはてな村民じゃないか。愛ディid:Projectitohさんですって。


で、この日記。実は跡になってpsが加えられたのですが、ほかにも書き換えられたところがありますです。


朝見たときは…

ちょっとないくらい繊細なのだ。凡百の繊細ぶった、その実無神経なだけの代物とは対極にある。題材に対する繊細さ。その背景にある現実に対する繊細さ。



だったのが、最終版(現在)では…

ちょっとないくらい繊細なのだ。凡百の繊細ぶった、その実どうしようもなく粗野な代物とは対極にある、題材に対する繊細さ。その背景の現実に対する繊細さ。『腹ぺこマーヴィン』(サウスパークの)に近い繊細さ(普通あれをやるとどうしようもなく粗野になってしまうんだが、ストーン/パーカー組はここでもまた偉大であった)。



微妙に異なる。あと、『腹ぺこマーヴィン』の一文は完全に追加されたもの。『虐殺器官』を読んだことのない者に対して比較的知られたアニメを持って来て説明しつつ、持ってきたサウスパークそのものも褒めるという無駄の無さ。日記、それも夏休みの日記だというのに、やっぱり濃いなぁ。


もう一箇所。朝の時点では…

虐殺の文法は、あれほど即効性のある形ではないとしても、現に存在していて、ナチどころか国民公会の時代から(ギロチンと溺死刑の「論理」の研究も、実際にあるらしい)、着実に人を「我々」と「彼ら」に分けて虐殺に駆り立てて来た訳だが、そういう目を背けて通りたい事実を見据え、虚構の形で読み手に突き付けて来るなぞ、思わず襟を正す他ない繊細さと言う他ない。語りの繊細さは言うまでもない。少々繊細すぎると思えるくらいだ。結末には思わず唸ってしまった。きちんと書評を書く場所がないのが少々残念である。



となっているが、現在では…

虐殺の文法は、あれほど即効性のある形ではないとしても、現に存在していて、ナチどころか国民公会の時代(ギロチンと溺死刑の「論理」の研究も、実際にあるらしい)から、着実に人を「我々」と「彼ら」に分けて虐殺に駆り立てて来た訳だが、そういう目を背けて通りたい事実を見据え、上等な虚構の形で読み手に突き付けて来るなぞ、襟を正す他ない繊細さだ。語りの繊細さは言うまでもない。少々繊細すぎると思えるくらいである。結末には思わず唸ってしまった(世界が素に還っちゃった、とでも言いますか)。きちんと書評を書く場所がないのが少々残念だ。



である。お分かりであろうか。

  • ナチどころか国民公会の時代から(ギロチンと溺死刑の「論理」の研究も、実際にあるらしい)、着実に人を「我々」と「彼ら」に分けて

  • ナチどころか国民公会の時代(ギロチンと溺死刑の「論理」の研究も、実際にあるらしい)から、着実に人を「我々」と「彼ら」に分けて

これは読みやすさに配慮したということだろうか。あるいは括弧の使い方にはルールがあるということだろうか。


もう一点。これは恥ずかしい

  • 虚構の形で読み手に突き付けて来るなぞ、思わず襟を正す他ない繊細さと言う他ない

  • 上等な虚構の形で読み手に突き付けて来るなぞ、襟を正す他ない繊細さだ



まさに“やっちゃった”という他ない凡ミスである。こういうところをわざわざ書き出すのはケッシテ私が“イジワルな人”だからではない。“好きな子だからかえってイジメたい”わけでもない。


なんというかこの日の日記には、こういうミスが出るほどの勢いがあった、ということなんだと思う。だって、だってぇ!

更新が途絶えるとかなり、まじで、心配した

とか

映画の批評も結構好きで、一頃は知り合いに端から凄いすごいと言って歩いたくらいである。

とか

この人の小説なら是非読みたいと思っていた

とか。


僕は、それほど大蟻食さんをオッチしてきたわけではないけれど、こんな大蟻食さん見たことない! というか。書き手としてもアレだが、小説の読み手としてもアレな大蟻食さんをして“この人の小説なら”などと言わしめた人物が他にあっただろうか。


ということで、実は僕は心底驚いている。これはなんとしても読まねばなんめぇ。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)




つうわけで。晩御飯食ったあと、ちょいとお出かけして早速買ったぞ(あぁ、読んでない本が山になってるというのに。はぁ)。




1600円+消費税ってお前ぇ、高ぇよ。いや、内容は知らないけど。とりあえず俺の財布的にだな、絶対的に高い、そういう意味です。俺が虐殺されてるようなもんだぜ。ま、なんといっても小説なんて映画に比べりゃものすごーくものすごーくお得なんだけどね。


で、早川さんよ。これ重要↓

 早川で出ると聞いた時には心待ちにした。すかさず買ってから『バーチウッド』の担当者に、言えば持って来ましたよと言われ



 きちんと書評を書く場所がないのが少々残念だ。



A+B=???


天下の早川の編集ともなればわかるよねぇ、こんな簡単な計算。




最後に。告白すると(←使ってみたかった!)、最初読んだときには、

あ? お前、『宇宙戦争』の時みたいにWebに書きゃぁいーじゃん!なんだよ、結局金が欲しいのかよっケッ!



などと体操腐刑なことを考えたのであるが、昨日の深夜、桂ざこばがプロだから客の前で噺を続けられんこともあるなどと言っているのを聞いてハッとした。プロだからなのだ。あっちもこっちもプロだから。しかも敬意を持っているなら、そこらへんにタダで書き散らすなんてことは出来なくて当たり前だったのだ。


とか、どこまでも付いていきますよ私は。遠距離幇間。いやだといわれても勝手にくっ付いて逝くからねっ。ま、なんていっても2ちゃんねる公認のネットストーカーだしな俺。