古いふるい、そして大きな大きなお城。今はホテルをやっているらしい。


僕と相棒は逃げている。何から逃げているかというとホテルの怖い人たちから逃げている。場所はひろーい廊下の突き当たり、そこから長い階段が始まるところ。どれくらい長い階段かというと京都駅の大階段くらい。けれどあんなに急勾配ではなく、一段が5,6メートルくらいあってちょっとみると踊り場に見える。それが大きくグニョーンとまがりながら右へと降りていく。


広いけれど、暗い。左側には窓があるが、小さいしカーテンも掛かっている。そこ。何故か右側の階段が始まるところに屋台がある。たこ焼きを売っているらしい。なんで?と思いつつ先へ進むと右側に柱が出っ張っているところに一組の男女の姿が見える。二人は窓の前にいるので逆光気味で見えづらいし、そのあたりはなんとなく暗いし埃っぽい感じがする。近づくとなんと佐藤夫妻ではないか。逃げているはずなのに僕は立ち止まって凝視する。よく見ると大蟻食さんはずいぶんとスリムで背も高く、赤いドレスを着ていて黒い髪と長く白い腕がとても目立つ。顔をみるとなんだかビジョになっていて口元が緩んでいるというか笑っている。目がトロンとしていて、頭をご亭主に凭せ掛けながら、身体をかるく揺らしている。ご亭主といえば、大蟻食さんよりも背が低い。が、この前見たカジノ・ロワイヤルのボンドのようにガタイがよく胸板が厚い。こちらも微笑んでいるけれど、目ははっきりしている。大蟻食さん酔ってるんだなと思ったがよく見ると二人の周りには煙が漂っていてもともと弱い窓からの光をさえぎっていて僕は直感的に、あ、マリファナ吸ってんだなと思う。


なんか話しかけてみようか、でもラリッてるしなと思っていたらホテルの怖い人たちが後ろに見えたので逃げる。何で逃げているかというと、二人でパーティーのために用意されていた料理を片っ端から食い散らかしたのがばれたからで、情けないなぁとか思いながら階段を足早に歩いて降りた。


ここで目が覚めたんだけど、結局最後まで相棒が誰なのかわからなかった。