晴(◎)


雲もあったけど。朝日は素晴らしくキレイ。今日は曲じゃなく、LISA10分30秒でOK.

朝未だき(←使ってみたかった)、寝ぼけ眼でトボトボ歩いていると、足元に先ほど出かける前にポケットに放り込んだ千円札が落っこちている。おっと、危ないあぶないと思いながら拾ってみると何故か濡れている。んー?と持ち上げてみるとどうやらそれは僕の千円札ではなく、福沢諭吉さんのように見えた。夜露で濡れたんだろう。確かに、僕の野口英世はポケットに入っている。

しかし夜は未だ明けていないし、街灯もないのでよく見えない。どこか明かりはないかと思い再びトボトボ歩き始めたがどこも電気は消えシャッターは下りている。どうでもいいか、眠いなとぼんやり思いながら反対側のポケットに福沢諭吉を入れ歩みを進めていくと直ぐ先に明かりが見えたので、道を渡って近づいてみた。

寒いのにドアが開いており、中は寒々しい蛍光灯の光がこれまた寒々しい事務所のような部屋をが煌々と照らし出していた。僕はポケットから先ほどの諭吉さんを取り出し、その明かりにむけてかざしてみると、やはりそれは福沢諭吉で、濡れてクシャクシャだったけども立派な一万円札だった。へぇ、なんでむき出しであんなところに落ちてたんだろうとぼんやり思っているとその事務所奥から警備員のようなおじさんが出てきて目が合ってしまったので、軽く会釈した。

「君、それなんや?」と僕が摘み上げた福沢さんをさして聞いてきたので、僕は「ついさっき近所で拾ったんです。本物みたいですよ。」というと、そのおじさんは何時ごろ、何処で拾たんかちょっと聞かしてくれるかな」といいながら、机の上電話帳のようなものを取り出し、左手で僕に座るように勧めた。僕ははぁとため息をつきながら座ると、電話帳だと思っていたのは割と詳細な地図で、この辺りの家が一軒一軒名前入りで書き込まれていた。僕は家の直ぐ近くの道を示して、ここで10分ほど前に拾いましたと言うと、そのおじさんはなにやら書類を取り出し、コチョコチョ書きこんだ後、「ちょっとそれ」と僕のつまんでいる諭吉さんを渡すように言ったのではぁ?と思いながらも渡すと。茶封筒に入れて、封をしてしまった。没収かよ!なんでやねん、おまえの店で拾たんちゃうで、と思っていたら、その茶封筒の封をしたところを指差して、名前書いてといい、僕がフンマンヤルカタナイ顔をしながらも署名していると、そのおじさんは先ほど書き込んでいた書類を一枚めくって僕に渡しながら、「6ヵ月後、市役所にいって受け取って下さい」などという。

6ヶ月て!一体なんお権利があって取り上げるんだ馬鹿やろう!ちゃんと仕事しやがれおまわり!