いや、ちょびちょび読んどりますよってに、時間が掛かってしゃおへん。とまあ、芋たこなんきんの影響でもっさりした関西弁で書いてみたら余計に遅く感じるな。ちょっとメモを書いておこう。あの、ほら、ストラテジーのp46あたり、シャマランの『サイン』ぽい感じでこう。ほんと違うんだけど。


第12章でヨハネスがニコロ・グァネリの部屋に招かれるんだけども、この部屋は城壁の塔の天辺の部屋でニコロ曰く「教会の塔よりも高い」ところにある部屋。なので城内で一番高いんじゃないかと思われる。


で、そこから見える風景が

油を流したように光る川面と、それとは対照的に穏やかに輝く野原が見えた。

(pp.197)



あ、今日からページ数はブッキング版で。


夕方なので夕日に照らされた川なんだろうけど、油を流したようってのがいい。対照的に穏やかとあるので、ギラツイタ不穏な感じでも醸してるんだろうか。短い一文だけど、塔からの絵画のような、だけども蛇がヌメヌメうごめいてるような見晴らしが想像できる。大蟻食さんって結構草原とか好きみたいね。『ミノタウロス』にも広大な畑の描写があったし。あと、砂漠とかも好きかも。どーーーーーんと広がった光景が。


ともかく。時刻はまさに日が落ちようとしている夕方、何処よりも高い塔の天辺の狭い部屋の中。二人のやり取りは日が建物の屋根にかかるところから始まる。上に引いたようにその時には外はまだ明るく城外の草原もそこを流れる川も絵画のように美しい。そこから徐々に日が沈んで行き、明かりが窓枠の中だけで納まる程度にまで弱くなる。それとともに二人の会話も佳境というか核心に近づいていく。


これって舞台の照明が二人の会話にあわせて落ちていくようなもんでしょう。あるいは二人のほうが外の様子にあわせて本題へ移ったのか。とにかく読んでいるほうの気持ちはこの城内の塔の天辺という舞台と照明の操作のおかげでぎゅーっと圧縮されていくし、二人の話の具体的内容とは無関係に集中していかざるを得ない。これが地下の小部屋だったりするともともと真っ暗だし徐々にってわけにはいかない。


とかストラテジーの『サイン』のあたりの話っぽく書いてみたけどこんなの嘘ですから。草原に流れる油を流したような川ってのが気に入っただけです。はい。