本日2本目

洋服屋で時々猛烈にとっぽい、何考えてるんだ的プリントの、ブラッド・ピットあたりが小汚く着てたらよさそうなTシャツを買ってしまう訳だが、おばちゃん(不肖大蟻食四十四歳)が着るともろおばちゃんTにしかならないのは何故かね。



おもしろいですねぇこれ。いや、実におもしろい。


はいはーい。これの答えがわかる人は手をあげてー!


そりゃもう自分で言ってる通り“あんたがおばちゃんだからだよ”だと思った人は、………ぬ………ん………んぅ〜残念!(みのっぽくね)


いやぁ惜しい。丸っきりのハズレではないね。で、答えはというとこれまた大蟻食さん自身が書いてる。つーかこの文章の中に入ってる。


もう判るよね。ブラッド・ピットあたりが云々というところですね。商品として並んでいるTシャツ猛烈にとっぽい。ところがブラッド・ピットが着れば格好いい。ところがおばちゃんが着ればおばちゃんTに見える。つまり問題はTシャツ(のデザイン)そのものではなくて着る人間自身にあるということでつね。


服を着るのではなく「服に着られる」という言葉がありますが、その場合はどんな人が着てもとっぽい。ただ今回問題になっているのはおばちゃんである、という点が味噌なのです。おばちゃん。これはもう言わずと知れた存在ですね。内に秘めたパワーが秘めきれずに溢れちゃってる。もうおばちゃんオーラを纏っている。なもんで彼女たちは「服に着られる」ようなやわな存在ではないのです。つまりオーラという点ではブラピに匹敵するのです。しかもブラピは世界に一人しか居ないけど、おばちゃんは世界中どこへいっても存在すると言われる華僑と比べものにならないほどずーっとひろく遍在しているのです。それでいてなおオーラを持っている。これは驚くべきことと言わざるを得ません。


オーラはもちろん精気さえ感じさせない僕などにはうらやましい限りです。もちろん僕はどのような地味な服を着ても「服に着られて」います。僕が着たからといって僕らしい格好良さはもちろん、50歩譲って僕らしささえ感じさせることはできないでしょう。


世の中には何を着ても着られることのないパワフルな人とそうでない人がいるのです。コレが答えです。“大蟻食=立派なおばちゃん”はそれなり(いや、普通のおばちゃん以上)のオーラを纏っているから、件のTシャツの猛烈なとっぽさに負けずにおばちゃんTシャツに見せてしまうのです。


おしまい。


いや、終わりません。最近、2つの小説『日蝕』と『鏡の影』が似ているぞという話について一方の当事者(望まれてはいないでしょうが)である平野啓一郎さん(id:keiichirohiranoさん)がはてな村に入村されて、そこに反論を載っけられました。ま、それはそれでよかったのですが、それに付いたはてぶコメントを見るとどうも読まずに書いてるんじゃないかと思うものが多い。

彼らの多くは多分「ぱくり」という言葉について誤解しているんじゃないかと思います。あの「ぱくり」という言葉は普通誤解します。ですから、実際なにがどうなっているのかということを知りたい方は読まれたほうがいいと思います。できれば前後の関連したところもお読みになったほうがいい。もっといえば、まーったく関係のないところもお読みになったほうがなおよろしい。そうすれば、佐藤亜紀という人の文学に対する考えがその独特な言葉遣いも(文学なんてなーんも知ら僕にとっては変な言葉遣いでした)含めて多少なりとも判るだろうし、関係ないところまで読まれれば、佐藤亜紀という人間がどういう人間であるかも感じ取れる(判るとは言いません)でしょう。その上でもう一度この件を振り返ってお考えになると、結論は変わらないかもしれませんが、なにかが違って見えてくるかも知れません


僕は平野さんが法的手段にお出になったとしても書かれているほどの手間は掛からないだろうと思います。大蟻食さんがさっさと謝っておしまいということになるでしょう。問題はそこにはないんじゃないかと思っています。僕は平野さんから反論があったということを知ってちょっと期待したのですが、ハズレでした。裁判云々の話ではなく(Web2.0関連はまぁ別の話)、もっとこう文学ぶんがくした文学くさーいものが出てくればよかったのになぁと。話の中身は全然違うけど佐藤春夫谷崎潤一郎の話とか普通じゃないでしょ(あれでもいい、野坂昭如大島渚)。ああいう浮世離れした、というか詰まらん世間とは一味違った普通じゃないものをすこーし期待してました。あれじゃ、佐藤氏本人も含めて誰もが最初からわかっていた、論理(僕は実際は盗作の話ではないと思ってますが)にあいたでっかい穴をそのくっきりした境界線に沿って塗りつぶしただけの、ただの塗り絵に過ぎません。ツマランもん。あれじゃ。


ま、何が言いたいのかと言うと、こねくり回せば婆Tシャツの短い話だっていろいろな受け取り方ができるんだから、ぱくり云々の話だってもうちょっと捏ねてやれば遊べるじゃんねと。ダメ?