ノクターナル・アニマルズ 【Nocturnal Animals:2016】

1年たってようやく日本で公開。いやこれ凄い。トム・フォードはもう監督業に専念すればいい。

冒頭ですでにがっちり心をつかまれてしまい画面から目が離せなかった。

文章や漫画などでは劇中人物がどんな天才であるかを示すことはわりと簡単だけど映画だとなかなか難しい。実際にものを見せたり聞かせたりしなくてはならないから。エイミー・アダムスが演じるスーザンは資産家の娘で資産家であろう夫と暮らすジャンク・アーティストなんだけど彼女の作品が映画のオープニングになっている(ちょっとデヴィッド・リンチ風でBGMにツイン・ピークスのテーマがかかっていてもおかしくない感じ)。これが凄い。

凄いんだけど映画の中で彼女自身が言うようにやっぱりあれはジャンクであって映画本編にくらべると弱い。凡百の映画であれば十分アートとして通用しそうなものがちゃんとジャンク・アートになっている。

これだけでもトム・フォードが並みの映画監督ではないことが分かる。

役者たちも素晴らしい。エイミー・アダムスにジェイク・ジレンホール、アーロン・テイラー=ジョンソンマイケル・シャノンローラ・リニーに至ってはエイミー・アダムスより10歳上なだけなのに母親役をやって違和感がないのがすごい。アーミー・ハマーもいいとこの坊ちゃん役がぴったり。まあそのまんまだけど。

最後のシーンの解釈がうまくできないのがちょっと悲しい。いつかこれだという自分なりの答えがでればいいんだけど。