ブリッジ・オブ・スパイ 【Bridge of Spies:2015】

いやー面白かった。60年前後の冷戦真っ只中のお話。ソ連のスパイを弁護することになった保険専門の弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)。子供たちが学校で全面核戦争の授業を受けた結果、うちでバカげた対策を実践するエピソードなんかも無理なく自然に挿入。裁判所で記者のフラッシュを浴びせられたあとに、使い終わったフラッシュの電球が床に散乱していたり、短かったけれどU2偵察機の離陸とカメラ、墜落の様子とか、とにかく細かいけれど面白い画面がたくさん盛り込まれていて楽しい。


お話自体は、いつものように狭量なナショナリズムの嵐の中で一人理性を保って勇敢に行動しました、っていうだけといえばだけのお話。ただそれを後ろから補強するのが捕まったソ連スパイの爺様の昔話。父親から「この男をよく見ろ」と言われ続けていた一見パッとしない男の話が爺様本人や主人公ジェームズと静かに重なる。これが成功したのはソ連のスパイルドルフ・アベルを演じたマーク・ライランスの演技力のおかげだと思う。


撮影はカミンスキーで、確かに綺麗。