野火 【Nobi:2014】

ヴェネツィア映画祭に出品したので2014年なのかな。NHKのニュースなどで取り上げられてしまったので混雑してるかと思ったけれど、普通の混雑具合だったのか、座ってみることができた。立川で観られれば良かったんだけど今回はユーロスペース


始まってしばらくは芋芋芋芋芋ときどき鉄拳。のんびり見ていたら徐々に苦しくなって途中からはうっすらと吐き気が。戦闘シーンというよりは一方的な虐殺シーンでグロはグロだったけれどそこが原因で吐き気を催したわけではなく、状況全体から滲み出てくるもの、というか見ている自分に染み入ってくるもの、が理由だと思われる。あれはなんだろう。原住民の一人を射殺(半分暴発事故のようなものだったが)したところの方が気持ち悪かったかもしれない。食糧難のままジャングルを行軍するさま。病気と飢餓が原因と思われる死体がゴロゴロしている様子。全て気持ち悪いのだけど、それとも違う。


飢えているから食えるかどうか怪しい芋や草まで食べる。“猿”も食う。その様子を見ていても「生への執着」といったものを感じることは無かった。逆になぜそこまでして生きているのか。早くあちら側へ行ってしまった方がいいのではないか、という気持ちがうっすらではあるけれど途中から頭に浮かんでいた。こんなことはゾンビ映画でさえ思ったことは無いのに。

なぜ生きるのか。そこまでして生き延びた先にある生とはいったいなんなのか。どうでしたか大岡昇平さん。


これを反戦映画という向きもあるようだけれど、こんな異常な戦争はそうないよとも思った。餓死病死ばかりの、こんな愚かな戦争普通はやらんよ。特異的な戦争だろうと思う。だからなのか、戦争云々というより「なぜそこまでして生きるのか」という思いが先に立ったのかもしれない。

リリー・フランキーはまあどうかな。使いっ走りの若い泣き虫男は森山未來に似ていたような気がする。森山未來のほうが演技できたかもなぁ、というのは惜しい気がする。死なない伍長は良かった。演技でできるものとは違う、ご本人の纏った空気が合っていたように思った。