インサイド・ヘッド 【Inside Out:2015】

見てきた。まあ先に見た人が言っていたように本編前のドリカムのビデオが酷かった。画はほとんど見ていない。ぶさいくなガキの顔などどうでもいい。


真っ先に聞こえてきた音が酷い。ドリカムってこんなに酷い音だったっけ?と思うくらい酷い音だった。酷い上に平板。こんなものを見せ聞かされるのは腹立たしい。


と、いきなりムカムカして始まった。ハワイのような洋上に頭をだした火山の短編はまあまあ。音楽が単調でちょっとつらかった。


しかし。『インサイド・ヘッド』本編は素晴らしかった。『ベイ・マックス』に続いてこれもサンフランシスコが舞台(の一部)。二本続けてこのクオリティということでピクサー株が上昇。


主人公の少女ライリーの脳内で起こった事件がメインのストーリーなんだけど合間あいまに挟まれる現実世界のライリーの様子も丁寧な描写でとてもよかった。『脳内ポイズンベリー』と似ていてヨロコビをつかさどるJOYにカナシミのサッドネス、怒りのアンガー、むかつきのディスガスト、恐れのフィアーの5人のキャラクターが会議のような形でライリーの感情を左右している世界。なんかこういう学術論文というか学説あったよ、そういえば。仁木稔さんが話してたような記憶があります。お元気かなー仁木さん。


で、いろんな記憶がボールとなり5人の色と結び付けられて保管されていくんだけど、最後にでてきたボールの色はほんの少し大人の色になっていて、ああこういうことなのかと納得した。まあそりゃそうだ。全てが5色ですむわけないもの。


長期保管庫をみるとJOYの色、オレンジ色が大勢を占めている。つまりそれはライリーの記憶にはヨロコビが多いということだし、脳内チームの司令塔はJOYであり、幸せな家庭で育ったライリーにとっては当たり前のこと。ちなみに父親の司令塔はアンガ―で母の司令塔はサッドネスだった。


引っ越し、転校をきっかけにライリーは障壁にぶつかり、ちょうどそのころ脳内の事故によってヨロコビとカナシミが指令室から放り出され、どんどん状況が悪化していく。その様子が言葉ではなく脳内の映像で見せられるんだけどこれが恐ろしい。「特別な記憶」と関連した島が崩壊して奈落に落ちていく。そのビジュアルを観ながら長距離バスにのって家出をしてしまった子供たちなら、どういう状況になっていただろうかと想像して恐ろしくなった。


また自分自身についても考えてしまった。どう考えても私の記憶はカナシミの青と恐れの紫だらけだろうな、と。


サッドネスが司令塔の私が見ても楽しかったのでとてもいい映画だと思います。