アメリカン・スナイパ― 【American Sniper:2014】

まあ先週の土曜に見たんだけども、寝かしてた。


実在したシールズの狙撃兵クリス・カイルの自伝を基にした映画。


話の柱の一本に、敵方の狙撃手との対決があって、その男ムスタファは元オリンピック選手で凄腕であるという設定なんだけどどうやら映画用のフィクションらしい。まあそれはそれとしてもこの映画は狙撃手どうしの対決がメインの題材ではない。にもかかわらず分かってないバカ愚かはいつもいるもので「決着後が蛇足である」といった話も目にした。ばーかばーか。


画面はイーストウッドの映画とは思えないような割と真に迫るアクションなんだけどやっぱりクリント臭が漂う。「(自ら撮影し)映しているものとの距離の取り方」が独特なんだけどどう独特なのか言うのが難しい。どっちとも取れるような微妙な見せ方、というか。


最後、実際の事件通り殺害されるわけだけど、そこは見せない。代わりに葬儀の様子を映した当時のニュース映像が粗く映し出される。明らかに画面のトーンが違うだけではない。一部を拡大して見せている。つまりトリミングしている。


そこに映っているのは道路脇や陸橋の上から霊柩車を見送る人々であり、彼らが振っている星条旗であり、感極まったのか車椅子で道路へ出てきた帰還兵らしい男であったりする。これが気持ち悪い。私の目には素晴らしく気持ち悪く映った。ただクリント爺さんはそういう意図をもっていたとは思いにくい。ただ少なくともどうとでも取れるような見せ方ではある。そこは狙ってやったはずだ。


さらにそのあとに続くエンドクレジットもすごかった。全くの無音だった。映像が終わってから画面が黒くなり、そこに白い字が流れ始める。そのタイミングや速度も計算されているような気がする。とにかくほとんど誰も席を立たなかった。自分はいつも劇場が明るくなるまで座っているんだけれど、エンドクレジットになった途端に出ていく人は多い。それが今回殆どいなかった。気のせいかとも思ったけれどリリコも同じようなことを言っていたのでこのエンドクレジットの演出の効果なんだろうと思う。


だーっと見せておいて突き放す。自分で考えてみろ、というように。クソ爺め。


内容としては『ハート・ロッカー』と『ゼロ・ダーク・サーティー』と『ブラックホーク・ダウン』を混ぜたような映画だった。ふう。