エクソダス:神と王 【Exodus: Gods and Kings:2014】

リドリー・スコット史上最高かもしれないと思った。これ好き。主人公の立ち位置なんかも含めて『グラディエーター』と似ている。出来もいい勝負だった。


エクソダスというとチャールトン・ヘストン主演の『十戒』を思い出すけれどこちらの方が技術的なものも含めて上を行ってる。なにせ十の災いを全部やるんだけど、どの映像にも不自然さがない。海が割れるあのシーンですら自然だった。冒頭のエジプト対ヒッタイトの戦車戦を始めとして戦場の鳥瞰シーンが何度かあったけれど、スケールの大きさを示すだけでなく戦場の全体像が把握できてすっきりできたのが素晴らしい。


話もエジプト人の子供だけが死ぬという10番目の災い以外はそれなりに合理的な説明ができる現象であったし(説明したいかにもな小役人は予想通り吊るされた)バランス、配置も上手い。


この映画の最後、ヘブライ人たちが紅海を渡っているところを観て初めてエドワード・ズウィックディファイアンス』の沼地の逃避行がミニエクソダスであったことに思い至った。鉱山の露天掘りのようなところで奴隷として働かされているヘブライ人の死にっぷりなんかはアウシュビッツ(丁度解放70年)を想起させる。

40万のヘブライ人がたった一人モーセの後を追って大移動、エジプト軍に追撃されるという点では曹操に追いかけられた劉備を思いだす。

日没までにヘブライ人の自由を宣言しないと恐ろしいことが起こると言ったモーセの言葉や市内で起こるヘブライ人グループによるテロなどは今現在2015年2月の中東を思い出させた。

何千年経っても人間のやることは変わらない。

"I am"の少年の演技が素晴らしい。