レ・ミゼラブル 【Les Misérables:2012】

ぐぐたすで燃えてる人がいてほーそんなによいのかの、ということでつい期待してしまったのが悪かったのかもしれない。


というか私やっぱりミュージカル苦手らしい。歌が始まると歌詞が頭に入らなくなるみたい。音しか聞かなくなるっぽい。知っている曲は一曲だけ。それだけはそれなりにいいもんだったけど他が駄目だった。


そんなに悪くはないんだろうけどいまいち乗れないですね、というのではこういうのがあったな、とぼんやり思い出したりしていた。





割と気持ちよく見られたミュージカルというのは出来合いのポップスやロックを使ったやつで


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そういやコゼット役の子がでてたな『マンマ・ミーア!』にも。


冒頭船を引っ張るきたなーいおっさんどもが映し出されて「お、これ予告でみたとこだ」と思っていたら、よく見るとその中の一人がヒュー・ジャックマンじゃないですか。まったく気が付いておりませんでした。それくらい汚く変身していた。短く刈ったあたまに見えるすこし盛り上がった傷あとなんて感動的です。あの汚い顔見てヒュー・ジャックマンだと分からないのは当然。どちらかというと小奇麗なロバート・カーライルみたいだもの。


で、船をドックに入れ終わって退場する時にジャベール(ラッセル・クロウ)が言うわけです。旗を取ってこいと。その旗を持ってくるのに折れたマストごと運んでくるジャン・バルジャン頭どうかしてるぜ!と思ったんですが“ジャンはすっごい力持ち”という前ふりだったようなので仕方のないことです。あ、あとちょっと十字架背負ってる雰囲気もありましたね。


という感じでけっこうあちこちに神さまかキリストのようなイメージが見られたわけですが、一番はやっぱりバリケードの場面。養女コゼット(アマンダ・サイフリッド)と相思相愛と思しき青年マリウス(エディ・レッドメイン)を「こいつも俺の息子どうぜん!神さま救ってやってよ!おうちに帰してよ!」って歌っているところ。ヒュー・ジャックマンの顔を下からあおりで撮っているんだけど画面の右下に追いやられている。ちょっとなんだかね?という感じだけど実は画面左上にピンボケで映っているのが壁に描かれた巨大な眼の絵。この目がジャン・バルジャンを見下ろしている、という画面になっている。これって神さまの目ですね。ジャンを見ているのかジャンを通して人間の世界を見ているのか、どちらかわからないけど。


このバリケード、警察だか軍だかが行進して迫ってくるところを真上から撮るシーンがあるんだけど棺桶の形してた。『レミーのおいしいレストラン』の評論家のオフィスも棺桶の形してた。あんな感じ。


この映画で一番よかったのは子供。町を駆け回り金持ちの馬車に乗り込んで煽ったり学生の革命ごっこに参加したりしてる少年がいたんだけど彼が一番よかった。ジャベールがスパイとして学生たちのバリケードの中へ入った時も「そいつジャベール警部だ」って一言叫んだらもう即取り押さえられてるの。どんだけ信頼されてるのか君は!と。


正直彼を主役にあの時代あの町で一本撮ればいいのに、と思っておりました。


あとは、そうねエポニーヌ(サマンサ・バークス)かな。あれは役者としてはおいしい役だった。


あとあと。コゼットの母ちゃんフォンティーヌを演じたアン・ハサウェイ。なにか市長になったジャン・バルジャンの経営する縫製工場のようなところで働いていたんだけどどう見てもメンツがおかしい。アン以外みんな不細工なおばはんばっかり。同年代の女性おらんもん。それで寄ってたかっていじめてるもんだから「不細工の僻みってすげーな」とか思ってしまいましたよ。しかも集団で。


でも今日見ていていちばんグッと来たのはこれ。






車に家族を乗せて運転しているブラッド・ピット。渋滞で娘たちと会話しているとガンッとサイドミラーをぶっ壊して通り過ぎるバイク。「え?なにいまの?」と運転席から降りてみると渋滞の前方で爆発。「え?え?」となっているところにバイクに乗った警官が「車に戻れ!」と叫ぶ。瞬間その警官をトラックが轢く。


もうこのシーンだけでグッとつかまれましたよ。これあれね『トゥモロー・ワールド』の冒頭の爆発シーン。あれ講義で話があったけどあのアップグレード版っぽいですね。すごいドキドキしましたよ。正直後半は微妙な気もしましたけど期待した。とりあえず8月までは生きる。