リダクテッド 真実の価値 【Redacted:2007】

見た。





イラクに駐留していた米兵によるイラク人少女の強姦殺人と彼女の家族皆殺し事件を描いたもの。


実話に基づいたフィクションであるという宣言で始まるこの映画は原題"Redacted"=編集済みの名前の通り、映画学科志望の兵士が撮影したホームビデオやTV局の取材映像、ネットに上げられたビデオ、駐屯所の監視カメラ映像、軍による兵士の事情聴取の記録ビデオなどを切り貼りした形で作られている。


そういう手法は悪くないんだけど、一番問題なのはそれぞれの映像がまーったくそれらしく見えないのが致命的。


一兵士による手持ちカメラも監視カメラ映像もTV局の番組も軍の記録映像もどれもこれも全部同じように見えるうえ、すべて作り物っぽさが漂っているので見ていて褪めてしまう。監視カメラの映像も普通のカメラで撮ってるんじゃないの?これ。解像度高すぎるだろ。しかも音声までクリアってどんだけ重要なポイントなのあそこ。こんな監視カメラ映像、TVの2時間ドラマのレベルだろ。ブライアン・デ・パルマって映像に関して鈍すぎるんじゃないの?デヴィッド・フィンチャー見習えよ。


それぞれの映像は「正視に堪えない」とまではいかないけどずっと続くとかなり辛い。普通に事件を描けばよかったんじゃないの?と思う。


これがヴェネツィアで監督賞にあたる銀獅子賞をとったというので驚いた。この前見た『ノー・マンズ・ランド』もアカデミー外国語映画賞カンヌ国際映画祭脚本賞をとってるけどそれほどではないし、ずっと前に見た『フランドル』もカンヌで審査員特別グランプリとってるけどイマイチ。映画祭ってなんか戦争映画に甘いんじゃないの?


まあ『フランドル』についてはまだスッキリしないままなんで評価は保留にしてるけど。