アラトリステ 【Alatriste:2006】
見た。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: DVD
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剣士アラトリステをヴィゴ・モーテンセンが演じる。剣士といっても傭兵だけど、雇い主であった大貴族(グランデ)グアダルメディーナの信頼篤く徒名はカピタン。
いやースペインって怖い。ほんと恐ろしい。なにあの殺伐。そこを攻めて落としたナポレオンはもっと怖いのかもしれないけど、やだやだ。まあその殺伐には延々と続いている戦争のほかに異端審問というかカトリック命、異端はぶっ殺せ、というのがあるんだけども。そういえば『王妃マルゴ』も陰惨だったな。
この映画、どうも焦点がはっきりしていない感じがして見ていてちょっとつらかった。アラトリステだけに集中するかスペインの来し方行く末に集中するかどっちかにしておけばよかった。戦闘シーンはそこそこ面白いんだけど全体としてはやっぱり散漫な感じ。まとめてドカンとやれば結構なものが出来たような気がする。もったいない。
とはいえ。冒頭のフランドルの戦闘シーンもよかったけれど中盤のブレダ攻略が一番面白かった。なにが面白かったって、
1625年なのに第1次世界大戦みたいな塹壕戦やってる!しかも毒ガスまで使ってる!なにこれ?ほんと?
というところ。
銃も使ってるけどバスッという静かな音とともに発射される弾丸はとても遅く、下手すると避けられるんじゃないの?という代物でまだまだ剣が主流。なので当然、剣劇のシーンも多く、それなりに楽しい。ほぼ皆さん二刀流なのです。片方は短剣。
ただ地味。どこ見ても地味。だいたいヴィゴ・モーテンセンがすごい地味。というかこの人『ロード・オブ・ザ・リング』以外みんな同じ人に見える。どの役やっても感情が見えない出ない存在しない、そんな感じの地味男ばかり。いいのかこれ。
ほかにも美男美女が一切出てこない。すげえ。これも地味の原因だけど、地味にすごい。
褒めるところがあるとすれば、そうね、絵画のような場面がちょくちょくでてくるところかな。ベラスケスの『ブレダの開城』のシーンが登場してからは明らかに絵画的な画を撮影しようとしてますね、というシーンが増える。それはそれで綺麗だけど、それメインには出来ないしなっていない。
アラトリステという男、スペインという国、戦場、絵画的な画、どれも中途半端になっている。残念。かっこいいけどねきったない格好したアラトリステ。