シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 【Sherlock Holmes: A Game of Shadows:2011】

今日までガイ・リッチーといえば『スナッチ』【Snatch:2000】がだんぜん一番だった。


本日、ガイ・リッチー最高傑作はこのシャーロック・ホームズ第2作『シャドウゲーム』に決定しました(厳密に言うとこれはたぶんこの作品単独の評価ではない。前作『シャーロック・ホームズ』があってこその評価)。


先日みたデヴィッド・フィンチャーの『ドラゴン・タトゥーの女』でも思ったけどミュージックビデオを撮っていた監督って音楽と映像の組み合わせについては普通の監督よりずっと上手いんだろうな、というのはガイ・リッチーにもばっちり当てはまると思っている。でもこの『シャドウゲーム』については、もちろんいいんだけど、それは只の一因だろうと。


今、なんていうのか、ちょっとした奇跡を見たかのような気持ち。脚本もいいし映像もよかった(森の中を逃げるシーンは技術的には特に新しいものはなかったかもしれないけど、“自分は今新しいものを見ている!”と感じていた)し音楽も音大きいんだけど心地良いという上手さ、それに1作目からすでにかなり完成していたロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウのコンビとしての演技。そして同じくらいたいせつなのが、今回がほぼ初登場といっていいモリアーティー教授の圧倒的な悪役っぷり(どこぞのシリーズものみたいに準備銀行の金塊を強奪、とかいうケチな悪党じゃない)。


モリアーティーを演じたジャレッド・ハリスって嫌な感じの脇役でたくさん見てきたけどほんとにダウニー・ホームズに対抗できるの?と思っていました間違っていましたごめんなさい。かなりいい。あの目。さっき初めて知ったけど彼はリチャード・ハリスの息子だったのね。


でもまあ一番よかったのはロバート・ダウニー・Jrね。今回は最初からずーっとすごく二枚目に映っていて、その理由はすぐに分かるんだけども(かなり序盤でコメディ成分少なめ、シリアスで行くぜ宣言が為される)、もうね、ほんとかっこいい。それにあわせてジュード・ロウもかっこよくなるし、もうぐっとくるのね終盤は(そういう点でもモリアーティーは二人分の存在感に匹敵するだけのパワーがないとダメなんだわ。そしてそれはかなり成功していたと思う)。


ただ、最初に書いたように1作目があったからこそ、というのはたぶん本当。1作目で見慣れたコンビに、格闘前の脳内スローモーション再生やなんだかんだで結局ホームズ一人で食事するシーンとかアイリーンとの掛け合い、ワトソンの奥さんとか警部とかその部下の警官なんかの再登場、ということでそういった繰り返しの効果も大きいと思う。


ああ、なんだかゴチャゴチャになってきたけどとにかくもうずーっと最初から最後まで面白かった。お話も演技も構成も音楽も映像もよかったのよ。ほんと。おかげで『アイアンマン』を見る気がうせました。ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウガイ・リッチーもこの映画を撮るために今までやってきたんだろ?という、そんな感じ。


面白いねぇ。