リアル・スティール 【Real Steel:2011】

見た。


リアル・スティール



この一言につきる…

極 悪 男 子




というのは冗談です。これはボクシングロボットの胸に書かれていた文字。世界各国をまわってアメリカに帰ってきたロボットで日本でも活躍していた、という設定だった。他にも「拷問」とか「極楽」とか腕のディスプレイに表示されたり。


お話は見ていれば自然に予想されるとおりの展開をたどり、予想されるとおりの結末に至る。もちろんハッピーエンドで。じゃあどこがいいのかというとロボット、ではなくて息子マックスのキャラクターがいい。ヒュー・ジャックマンが演じた父親チャーリーは最初から最後までほぼずーっとダメとおちゃんのままで(それはそれでいいんだけど)、いっぽう子どものマックスの方はけっこうなしっかり者だったりする。脚本自体が子どものキャラクターにほぼ全部依存しているんだけど、やっぱりこれはマックスを演じた子役ダコタ・ゴヨがいなくては成立しなかったとしか思えん。


ここんところ「子役がよかった」みたいな事をいつも書いてるような気がするけど、ほんとかわいくてよかったんだなこれが。ジャッキー・チェンが出ていた『ベスト・キッド』のウィル・スミスの息子といい勝負だわ。こっちはもう少し小さいのでかわいい。続編作るならすぐにやらないと大きくなったら消えてしまうだろう種類の魅力。


映画自体は上に書いたようにこれといっていいところはない。ロボットはモーションキャプチャーそのままだろうし(といっても悪いわけではない)、話もまったくひねりなく意外性もない。意外性がないどころか所々おかしい。


後半、ロボットのアトムが控え室で鏡にうつった自分に見入るシーン(ググタスでシュピーゲルグランツという文字を見たばかりだったのでつい笑ってしまった)があって、あきらかに意味があるような撮り方をしているにもかかわらず見終わってみると意味のないシーンとなっていた。ここは鏡にうつった自分を見ることで自我を持つようになるとか、そういう凡庸なアイデアでもいいのでなんかあるべき。それに敵役の企業から20万ドルでアトムを買い取るという話も唐突で、実は“アトムは普通の時代遅れなG2(第二世代)ロボットではない”という設定があったんじゃないかと思っている。そうでなければつじつまが合わない。


他にもマックスの年齢についてなんども確認するシーンがあるんだけど、これについても“チャーリーとマックスは実の親子ではない”という設定だったのではないかと疑っている。それというのも最後のシーン、リングの上でチャーリーとマックスが秘密は黙っているよ」といったやり取りをするんだけど、その「秘密」について映画では描かれていないから。その「秘密」は実の親子でないとかアトムは特別なロボットだったということならうまく収まる。


なんていうか一度は脚本どおりに撮影したものの、あとから編集で無理やりストーリーを変えてしまったような気がしてならない。まあ親子云々や特別なロボットという話を入れるとごちゃごちゃしすぎて失敗しそうなのでこれでいいんだけど。