フロント・ページ 【The Front Page:1974】
見た。
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冒頭、組版から輪転機へと新聞が印刷される様子を見せた後、その日の一面が大きく映し出される。そこには警官殺しが死刑になるという大見出しと上告が却下されたという小さな見出し。
大きな見出しだけであればともかくわざわざ小さな見出しまでアップで写したので、てっきりこれは新聞記者を引退しようとしているジャック・レモンが最後に死刑執行直前にその冤罪を晴らすというストーリーなのかと思った。つまりこれ。
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しかし予想は外れ、最後までドタバタだった(そりゃジャック・レモンとウォルター・マッソー)。
予想したような割とシリアスな社会的な内容ではなかったけれど、やっぱりこれは社会的なコメディで、その批判はいちいち強烈だった。その対象は保安官に検察、市長にウイーンから招聘した精神科医に、プレスルームに入り浸る新聞記者たち自身だったりする。私としては精神科医のパートがいちばん笑った。死刑囚が精神科医をみてぼそっと「キチガイ」って言うところ。
例外は娼婦とジャック・レモンと結婚する予定だったスーザン・サランドン(すっごく若い。でもぜんぜん変わってない)の二人くらい。とくにこの娼婦モリー・マロイ(キャロル・バーネット)は記者たちから散々罵倒され貶められるんだけど、酷い扱いを受ければうけるほど彼女のまともさが際立ち、死刑囚をかばうためにビルから飛び降りたときにはその自己犠牲に聖性さえ感じた(ちょっとやりすぎな感じもしたけど)。
ジャック・レモンとウォルター・マッソーの掛け合いはそれだけで芸になっていて面白い。一度は引退したはずなのに、記者としてパチパチとタイプライターを打つジャック・レモンが「タバコ」というとウォルターが火をつけて口まで持っていき、そのまま肩に手を乗せる。それをボーっと見ているスーザン・サランドン。誰が見てもあの二人に割り込むのは無理だって分かるあのシーン。
まあ、台詞も全体的にテンポよくパンパン言い合う形になっていて、ガイ・リッチーがよくやるイギリスのアレとは違うタイプの、でも良く似た楽しさを感じられる会話が繰り広げられる。ああいうの、良い。